① 発行の目的
 トヨタは、AA型種類株式の発行目的について、次世代技術創造への「中長期的視点」での研究開発資金の調達及び「中長期株主層の形成」により、「中長期での成長を目指すトヨタの経営意思を株式市場へ発信」することなどと説明している。

 また、コーポレートガバナンス・コードの目的の1つは「中長期の投資を促す効果をもたらすこと」であり、中長期保有志向の株主は「会社にとって重要なパートナーとなり得る存在」とした上で、AA型種類株式は、コーポレートガバナンス・コードの「主旨に沿ったもの」とも説明している。

② 議決権
AA型種類株式には、普通株式と同じ議決権が付与されている。

 このことは、中長期的な企業価値の向上に主たる関心を持っている株主が、トヨタの会社経営に影響力を及ぼすことを可能にするものである。

③ 譲渡制限
 AA型種類株式には譲渡制限が付されている。すなわち、AA型種類株式を譲渡するには、原則としてトヨタの取締役会の承認が必要である。東京証券取引所の上場規則によると、譲渡制限付きの株式は上場することができないため、AA型種類株式は非上場株式である。

 このようにAA型種類株式が譲渡制限付きの非上場株式である以上、流動性を重んじる機関投資家は、その購入には慎重になることが予想される。トヨタ自身も、AA型種類株式の主な購入者には、個人投資家を想定しているようである。

④ 優先配当
 AA型種類株式は、普通株式に優先して配当が行われる。配当年率は、当初の事業年度は0.5%であり、以後2.5%に至るまで毎事業年度に0.5%ずつ上昇していく設計となっており、5年間の配当年率を平均すると1.5%となる。普通株式の平均利回りは2%台前半との指摘もあり、当面の普通株式の配当利回りより低い配当率と説明されている。

⑤ 実質的な元本保証
 AA型種類株式の1つの特徴は、トヨタによる実質的な元本保証が付されていることである。すなわち、AA型種類株式の株主は、発行から概ね5年後に、AA型種類株式を、普通株式への転換、または発行価格(未払配当金などを含む。今回発行されたAA型種類株式は普通株式の市場価格の約1.3倍で発行された)での換金をトヨタに請求することができる。

 これにより、AA型種類株式の株主は、発行から概ね5年経過後は、普通株式の株価がAA型種類株式の発行価格を上回っていれば、普通株式への転換によりキャピタルゲインを得ることができる。また、普通株式の株価がAA型種類株式の発行価格を下回っていれば、発行価格での換金を請求できるため、損失リスクが少なくなるのである。

⑥ 発行株式数
 トヨタは、AA型種類株式について、原則として、1年に一度を超えない頻度で第2回以降の発行をする予定であり、発行規模は発行済株式総数の5%未満(1億5000万株)を上限とすると説明している。今回の発行では、4710万株(発行済株式総数の約1.4%=2016年2月12日時点=)を発行した。

⑦ 投資家の反応
 AA型種類株式の発行に際しては、販売を担当した野村証券に対し、予定発行金額の10倍超の申し込みがあったとの報道もあり、投資家から高い人気を得たようである。

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