グラスルイスの新助言方針

 グラスルイスの新助言方針は、まず、監査役設置会社について、役員(取締役及び監査役の総数)の3分の1以上を独立役員とすることを求めている。独立役員が3分の1以上という基準を満たしていない場合、基準を満たすまで、社内役員または非独立役員(社外役員ではあるが、取引関係や株式保有関係などから見て非独立と判断される役員)に関する選任議案への反対を推奨し、会長(会長職が存在しない場合、社長またはそれに準ずる役職の者)に関する選任議案への反対も推奨するという。まず会長、次いで社長という点が興味深い。

 ここでいう役員には監査役も含まれるため、社外取締役が1名しかいない場合でもこの基準を満たすことは可能であるが、時価総額上位100社を見ると、この基準を満たしていない会社が30社程度存在する。これらの会社のなかには、今後どのように対応するかについて、株主の分布などの個別事情を踏まえ検討が必要となるところもあるに違いない。

 グラスルイスは、新助言方針において、役員の兼務制限につき上限の引き下げを行うという改定も行っている。上場会社の執行役員(executive officer)を務めていない役員については、6社(従来は7社)以上の上場会社で取締役・監査役を兼任することに反対を推奨し、上場会社の執行役員を務めている役員については、3社(従来は5社)以上の上場会社で取締役・監査役を兼任することに反対を推奨するとしている。すなわち、執行役員を務める取締役は、自らが執行役員を務める会社のほかには、1社までしか取締役・監査役の兼任を認めないのだ。

 また、グラスルイスの新助言方針においては、以上のような改定の他にも、指名委員会・報酬委員会の委員長を社外取締役とすることや、株式型報酬制度に関する助言方針の改定が行われている。

社外取締役の兼務制限と問題点

 上場会社に適用されるコーポレートガバナンス・コードは、取締役・監査役に対し、「その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間・労力を取締役・監査役の業務に振り向ける」ことを求め、「例えば、取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべき」であるとする(補充原則4-11②)。この「合理的な範囲」について具体的な数値基準は設けられていない。各会社の合理的な裁量に委ねられているということで、それは適切である。なお、時価総額上位100社のうち、社外取締役が2社以上を兼務している会社は83社にのぼる。

 社外取締役がその役割を果たすには、十分な時間が必要である。社外取締役は、事前に送付された取締役会の資料を読み、内容を理解した上で取締役会に出席することが求められる。会社の事業などを理解することも必要であるため、十分な事前準備の時間を確保しなければならない。

 したがって、一般的に言って、兼任数が多くなればなるほどそれぞれの会社に十分な時間を費やすことは難しくなっていく。しかしこの点については、会社の規模、業種などで相違があることも言うまでもない。