無断転貸や規約違反はトラブルの原因に

 ただし心配の種もある。一部から民泊の実態は旅館業であり、許可を得ないと旅館業法に違反する可能性があると指摘されている点だ。料金を取って宿泊者を泊めるには、本来、自治体の許可が必要。許可を得るには、宿泊施設として必要な設備や衛生管理の要件を満たす必要がある。政府は東京五輪を見据え、訪日外国人の宿泊先を確保するために民泊の規制緩和を打ち出しているが、法改正にまでは至っていない。

 旅館のような規模で複数の部屋を民泊向けに貸し、近隣からの苦情を放置していた悪質な事例では、書類送検されるケースも出ている。

 前述の又貸しスタイルでは、大家の許可を得ていない事例が目立つ点も気になる。飯田さんが民泊で泊まったマンションも「転貸借不可」の賃貸物件だった。

 「利用者が出す騒音や、ゴミの捨て方について近隣住民が管理会社や大家に苦情を寄せ、又貸しが露見することもある」(阿部さん)。発覚すれば、契約違反を理由に退去を迫られるリスクが高い。

 自己所有の物件でも、マンション管理組合が定める規約に違反していれば、民泊を行うことは難しい。「民泊禁止など専有部分の用途に制限が設けられていないか、事前の管理規約の確認は必ずしてほしい」(飯田さん)。

国家戦略特区で自治体公認の民泊

 法的問題を現時点でクリアできるのが、政府の国家戦略特別区域内で営む自治体公認の民泊だ。現在、条例に基づき民泊の運営が認められる自治体は、東京都大田区、そして大阪市と大阪府(大田区以外は施行前)だ。

 大田区では宿泊旅行サイトの運営会社「とまれる」が、全国初の民泊運営事業者として認定され、2月に民泊仲介サイト「STAY JAPAN」を開設した。同サイトに民泊物件を登録するには大田区の認可が必要で、3月上旬時点で登録されているのは同社運営物件含め3件に限られている。なお特区の定めの中で運営される民泊は、最低でも滞在が6泊7日以上という条件がある。

 とまれるでは、田舎の民家に泊まり農業を体験できる「体験型民泊」も支援。同社運営の「とまりーな」で情報提供を行う。利用者が増えれば、地方を中心に増加する空き家対策にも貢献できそうだ。

日本初の自治体公認事業者が運営する民泊仲介サイト<a href="https://stayjapan.com/" target="_blank">https://stayjapan.com/</a>
日本初の自治体公認事業者が運営する民泊仲介サイトhttps://stayjapan.com/
現在、3物件が大田区公認民泊物件として登録されている。うち2件はとまれ る社が運営。写真右はマンションの1室。左は一軒家タイプ。マンションでは 美容に役立つアメニティが充実
現在、3物件が大田区公認民泊物件として登録されている。うち2件はとまれ る社が運営。写真右はマンションの1室。左は一軒家タイプ。マンションでは 美容に役立つアメニティが充実
体験型民泊で紹介される「駒木 の家」(青森県)の例。薪割り体 験などができる
体験型民泊で紹介される「駒木 の家」(青森県)の例。薪割り体 験などができる

ホスト業務全般を代行する会社も

 最近では、ゲストとやり取りする時間を作りづらい人や、英会話が苦手な人などに向け、ホストの役割全般をサポートする事業者が続々と登場している。

 例えば運営代行会社のリーウェイズやファミネクトなどは、ゲストとの通信、緊急対応などの一連の運営作業を宿泊料金の2割で引き受ける。リーウェイズは、ホストの自己物件を対象にサービスを提供。事前に問題なく運営できる物件かどうか確認を行い、トラブル防止に努める。ファミネクトは、転貸借が認められる賃貸用不動産の紹介も行っている。手間をかけずに安心して運営するために、専門業者を頼るのも一案だ。

リノベーションで物件を見栄えよくし、稼働率を高める方法もある。写真はファ ミネクトの例。2室30㎡のクロスの張り 替えを行い、施工代金は約8万円
リノベーションで物件を見栄えよくし、稼働率を高める方法もある。写真はファ ミネクトの例。2室30㎡のクロスの張り 替えを行い、施工代金は約8万円

 Airbnb総合研究会の阿部さんは、民泊の今後について「厚生労働省は、自宅の一部をシェアする形なら、民泊を旅館業法の対象外とする方針だ。民泊は今後さらに普及していくだろう」と期待する。そうした中で、ゲスト獲得の競争激化も指摘。運営を成功させるには、「ゲストに喜んでもらえる努力が必要」と言う。 

 マンション管理士の飯田さんは、「社会に役立つ仕組みとして発展していくために、ホスト、ゲスト共にルールを守り、互いに気遣うことが大事」と呼びかけている。

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