2016年は、日経平均株価がいきなり3000円以上も下落する波乱の幕開けとなった。個人投資家はこの難局にどう立ち向かったのか。人気サイト「ダントツ投資研究所」を運営する専業投資家、夕凪さんの対応を聞いた。 (聞き手は、市田憲司=日経マネー副編集長)

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<b>夕凪さん</b><br /> 専業個人投資家。人気サイト「ダントツ投資研究所」を運営。イベント投資や株主優待投資が得意
夕凪さん
専業個人投資家。人気サイト「ダントツ投資研究所」を運営。イベント投資や株主優待投資が得意

昨年末からの投資状況は。

 昨年末は、「高値を抜いた株をトレンドフォローで買っていく」という取引をメーンに、「郵政株のTOPIX組み入れ」や、「NISA のニューマネーで買われそうな銘柄の先回り買い」といった細かいイベント投資をやっていました。

 結果はいまひとつでしたが、年が明ければ良くなるかな、ぐらいに考えていました。それが年明けから相場環境が激変したんです。

年初の「異常現象」多発で徹底決意

何が起きましたか。

 まず、昨年の大納会の取引で、米S&P500種株価指数の年間騰落率がマイナスになりました。この結果、「西暦の末尾が5の年は米国株が上がる」「大統領選の前年は米国株が上がる」といった非常に強いアノマリー(経験則)が崩れました。

 それで「あれ?」って思っていたところに、日経平均株価が出足から3連敗です。実は、「日経平均の出足の3営業日の成績は、その年の日経平均の騰落率と連動しやすい」という法則があるんですね。それで、今年の日本株は駄目かも、とがっくりきました。その後、日経平均は史上初の開幕6連敗。優待株や中小型株にも下げが波及してきて、いよいよ異常な相場だと感じました。

 決定的だったのは、1月8日の米雇用統計です。ここ2年半ほど、「米雇用統計の発表後、翌週の日本株が月曜日、火曜日と連続で上がると、そこから月末まで上昇する」といった法則がありました。しかし、雇用統計の結果は前月比29万人増で非常に強かったものの、NYダウ指数は167ドルの大幅下落。翌週の日本株も下落で始まることが濃厚になりました。この結果を見て、相場から一時撤退することを決めました。

なぜですか。

 自分の予想と明らかに違うことが次々と起こったからです。分からない状況になった時は、一旦ポジションをフラットにして様子を見ようと思ったんです。

 月曜日に永久保有用の優待株などを残して、ほとんど売りました。それまで信用取引を使って運用資金の1.5倍ぐらいのポジションを取っていましたが、運用資金の2~3割にまで落としました。

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