2016年は、日経平均株価がいきなり3000円以上も下落する波乱の幕開けとなった。個人投資家はこの難局にどう立ち向かったのか。スゴ腕投資家の奮戦記を2回にわたって紹介する。
(聞き手は、市田憲司=日経マネー副編集長)
(記事の最後に1万円の商品券が10名様など計51名にプレゼントが当たるアンケートの案内があります)
井村俊哉さん
プロダクション人力舎所属のお笑いトリオ「ザ・フライ」の一員。平日はほぼ毎日デイトレードで日本株を売買する。中小企業診断士の資格を保有し、財務分析も得意
最近の取引は。
年末から年明けはテーマ株に集中投資していました。毎年この時期は10倍ぐらいに急騰する中小型株があるんです。2016年のスター株を発掘する意気込みでした。「自動運転」「ドローン」などがにぎわっていましたが、ターゲットを「フィンテック」に絞りました。メタップス(東マ・6172)が少し注目されたぐらいで、まだ手垢が付いていないと思ったので。
目を付けたのはインフォテリア(東マ・3853)。12月初旬にブロックチェーンの有力技術を持つテックビューロとの提携話が出て株価が急騰したので飛び乗りました。400円台で買って、細かく売買しながら、1400円ぐらいで利益確定です。毎日いやらしい値動きで頭がちぎれるような思いでしたが、「ここだ!」と思って勝負しました。快心のトレードです。
年明け以降、日経平均株価が急落しました。
その影響はあまりなかったですね。全体相場が駄目な時ほど、中小型のテーマ株に資金が集まるんです。その意味では、むしろ環境は良かった。ただ、テーマ株は旬が短いのが難点です。フィンテックにこだわらず、どんどん乗り換えていこうと思いました。
フィンテック相場が一服するのと入れ替わるように立ち上がったのがAR(拡張現実)・VR(仮想現実)関連です。新型ゲーム機「プレイステーションVR」のニュースなどが材料視されました。
サイバネットシステム(東1・4312)が強烈に上がったのですが付いていけず。遅れて動いたテクノホライゾン・ホールディングス(JQ・6629)で取りました。
テーマ株はこのように、先導して上がる「ご本尊様」と、連れ高する「サブ銘柄」があります。僕は本尊様にはうまく乗れないので、遅れて上がるサブを狙っています。
AR・VRが一服したら、次世代通信技術の「5G」関連が脚光を浴びました。ここはサイバーコム(東2・3852)がご本尊様。僕はサブのアルチザネットワークス(東2・6778)で取りました。
絶好調ですね。
全体相場とは裏腹に、1月は過去最高に儲かった月になりました。投資元本5000万円に対して1600万円ぐらい儲かりました。この時はもう有頂天でしたよ。2月のあの「激動の3日間」が来るまでは……。
バイオ株の大失敗で儲けの半分溶かす
2月のトレードは。
2月は本当に天狗になっていました。それで、だんだんトレードが雑になっていったんです。「1銘柄500万円まで」というルールがあるのに1000万円買ってみたり。2月10日はそんな適当トレードで400万円ほど溶かしてしまった。負けたのはバイオ株のメディネット(東マ・2370)です。
そうすると、「何としても400万円を取り戻そう」という気になってしまう。こうなるともう駄目ですね。翌日、目を付けたのは同じバイオ株のそーせいグループ(東マ・4565)。前日に好決算を発表して、高く寄り付いていました。その日は全体相場も急落していたので、「テーマ株に一極集中が来るかも」と思い、一気に資金を投入。でも、予想に反してずるずると下げ、200万円のマイナスで全部損切りさせられました。
そこでやめればよかったんですが、翌日にまた、そーせいです(笑)。何と、自分が損切りした価格よりも高く寄り付いているじゃないですか。腹が立ってまた勝負。その日はナンピン買いを繰り返して1万株(約1億円)ぐらい買ったのですが、結局300万円のマイナスで全部損切り。3日間で9 00万円負けました。
ものすごくショックでしたね。その日から、まぶたがぴくぴくして止まらないんですよ(笑)。しかも、結局そーせいはそこから8割ぐらい上がったというオマケ付きです。
テーマ株乗り換え投資で天国から地獄
注:本尊、サブの分類は井村さんによる
その後のトレードは。
やっぱりルールを守ることが大事だと痛感しました。今は、取りあえず前場はトレードしないことに決めました。損する確率が半分になりますから(笑)。
でも、1~2月にトータルでプラスなら良い結果では。
そうですね。それと、全体相場が下がったので、長期保有用の銘柄を仕込みました。デイトレは需給が全てですが、長期投資は業績や割安度をじっくり見ます。
井村さん注目の長期保有銘柄
注:データは3月10日時点
今、注目しているのはACCESS(東マ・4813)。かつては携帯電話のブラウザー開発で脚光を浴びたスター株ですが、今はスマホに乗れず見向きもされない。でも、実は現預金を200億円以上持っているのに、時価総額が250億円しかない超バリュー株なんです。あのタワー投資顧問も買っていたりして、何かあるんじゃないかと期待しています。
(『日経マネー』2016年5月号の記事を再構成しました)
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