スーパーなどでしばらく品薄になるなど、今、健康食材として熱い視線を集めている大麦。腸の中で発酵し、有用菌のエサになる水溶性食物繊維β-グルカンが、ほかの穀物に比べて豊富なのが特徴だ。そんな大麦の中に、水溶性食物繊維だけでなく、第三の食物繊維といわれる「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」を多く含む、“スーパー大麦”があるという。“スーパー大麦”は、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、レジスタントスターチが組み合わさったコンプレックス構造で、食物繊維を大腸の奥まで届けることができる。大腸の奥の細菌叢(腸内フローラ)に役立つ“スーパー大麦”とは、どんなものなのか。
腸の健康に欠かせない食物繊維
最近、健康の要として注目されている腸。各国の研究で、腸の健康が全身の様々な病気や不調と関わりが深いことが明らかになっている。
そうした腸の健康に大きく関わることが多くの研究から解明されつつあり、改めて専門家からも注目を集めているのが、食物繊維だ。食物繊維には腸内細菌のエサになって、多様な機能性を発揮する水溶性食物繊維と、便の量を増す不溶性食物繊維がある。
「水溶性食物繊維は主に小腸から大腸の上部にいる腸内細菌のエサになる。不溶性でありながら、水溶性食物繊維のような働きをするものもある。それがレジスタントスターチだ。これは大腸でゆっくり発酵し、そこにすむ腸内細菌のエサになる(発酵する)という性質を持つ」と話すのは、帝京平成大学健康メディカル学部の松井輝明教授。
この点に注目したオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、レジスタントスターチを多く含む“スーパー大麦”とも呼べる品種を開発した。 そもそも大麦自体、穀類の中でも食物繊維がダントツに多く、さらに水溶性と不溶性の量のバランスがいい(グラフ1)。スーパー大麦は、それに加えてレジスタントスターチが豊富なので、腸の健康に大きく貢献する穀物といえる。
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