脚がむずむずする原因は?

 なぜ、脚の奥に不快感が起こるのだろう。「今でも原因ははっきりと分かっていません。原因は一つには絞れないと考えられています」と井上理事長は話す。

 考えられる原因のうち、最も有力なのはドーパミン仮説。ドーパミンとは脳で分泌される重要な神経伝達物質。このドーパミンを伝える機能がおかしくなり、普段は感じない感覚が生まれるのではないか、というものだ。実際、ドーパミンの機能を高める薬を服用するとよく効くことが多いという。

 次に鉄欠乏仮説。「鉄はドーパミンの合成にも、ドーパミン受容体の機能にも関係するので、不足するとドーパミンの機能がうまく働かなくなります」と井上理事長。実際、鉄欠乏性貧血の人はむずむず脚症候群になりやすいという。

 遺伝子仮説というのもある。この病気は遺伝する確率が高いのだ。

 井上理事長は「特に45歳以下で発症する人の場合、3割以上は家族にむずむず脚症候群の症状を持つ人がいる。最近は大規模な遺伝子解析も進められ、いくつかの原因の候補となる遺伝子も見つかっています」と話す。

ドーパミンの機能を高める薬がよく効く

 原因がはっきり解明されていないといっても、必要以上に恐れることはない。むずむず脚症候群は「薬物療法によって85~90%の人が改善します」と井上理事長。

 現在、国内で保険が適用されている薬は3種類ある。

 まず、「プラミペキソール」と「ロチゴチン」。これらはドーパミン受容体の機能を高める薬(ドーパミン作動薬)であり、前に触れたように、これらがよく効くことがドーパミン仮説の裏付けになっている。もう一つは「ガバペンチンエナカルビル」という興奮系の神経を鎮める薬だ。ちなみに、すべて処方せんがないと購入できない。

 メカニズムははっきり分からないが、カフェイン、タバコ、アルコールの摂取によって症状が悪化することが多い。夕方以降、これらは避けたほうが無難だろう。

 運動はしたほうがいいが、「筋肉に疲れが残ると症状がひどくなりやすい。運動後は脚のストレッチやマッサージをしっかりやっておくことをお勧めします」と井上理事長はアドバイスする。

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