医療・介護用ロボット事業を手掛けるワケ

10兆円をかなえるまでは、戦士として闘い続けますよ
10兆円をかなえるまでは、戦士として闘い続けますよ
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 オーナーは10兆円という目標をよくぞ言うてくれたと思う。これがなかったら、「3兆円まできた。そこそこええか。目標は5兆円くらいにしとこうか」と思っていたはず。人間は楽をしたい生き物だからね。

 当社は住宅や事業用施設の建設請負を中心とする事業で成長してきましたが、この建築請負型のスキームだけで10兆円を実現するのは厳しい。だから「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ(安全・安心、スピード・ストック、福祉、環境、健康、通信、農業)」をキーワードに事業領域を拡大しています。

 その1つが健康です。歩行を助けるロボットスーツ「HAL(ハル)」や、寝たきりの人の排泄物を自動で処理する装置「minelet 爽(マインレット さわやか)」といった製品をベンチャー企業とタッグを組み、販売しています。

全自動の排泄処理ロボット「minelet 爽(マインレット さわやか)」は、内蔵のセンサーが排尿、排便を感知。排泄と同時に排泄物を速やかに吸引し、温水で局部を洗浄、さらに除湿までをすべて自動的に行う。写真提供=大和ハウス工業
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全自動の排泄処理ロボット「minelet 爽(マインレット さわやか)」は、内蔵のセンサーが排尿、排便を感知。排泄と同時に排泄物を速やかに吸引し、温水で局部を洗浄、さらに除湿までをすべて自動的に行う。写真提供=大和ハウス工業
ロボットスーツ「HAL(ハル)」。体を動かすときに脳から筋肉に神経を通して送られる信号に反応し、歩行や関節をアシストする。写真提供=大和ハウス工業
ロボットスーツ「HAL(ハル)」。体を動かすときに脳から筋肉に神経を通して送られる信号に反応し、歩行や関節をアシストする。写真提供=大和ハウス工業
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 「何をしたら儲かるかという発想で、ことを構えたらいかん。どういう事業や商品が世の中の多くの人の役に立ち、喜んでいただけるかということが大切や」というのがオーナーの教えです。僕はそれを忠実に守っています。

 2015年3月期の連結売上高は約2兆8100億円。創業60周年に当たる2016年3月期は3兆円を超えました。でも自分の気持ちとしては3兆円、4兆円では到底納得できない。是が非でも10兆円をかなえないかん。亡きオーナーとの約束を果たすまでは元気に全力で業務に邁進するつもりです。

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(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子/体操中の写真:大亀京助)

取材を終えて

 大和ハウス工業では、排泄物を自動で処理し、利用者や介護者の負担を軽減する自動排泄処理ロボットを取り扱っています。「当社のオーナーは苦労人で、徹底した現場主義。もし存命だったら、『その商品のことをいい、いいって言うけど、お前は自分で使ってみたんか』と聞かれるに決まっとんやから」と、樋口会長自らモニター役を買ってでたそうです。

 もちろんオーナーの教えもあると思いますが、それ以上に好奇心があったのではないでしょうか。今回お聞きした話の中で、ダイエット飲料や味噌汁、腰掛タップダンスは人から薦められて始めたもの。年齢を重ねるにつれ、新しいことにチャレンジするのが億劫になるものですが、樋口会長は興味を持ったらすぐに取り入れ、しかも継続されています。

 そんな好奇心であり、柔軟性がきっと若さであり、健康の秘訣なのでしょう。腰掛タップダンスを身振り手振りで実演してくださる姿がとてもチャーミングでした。(荻)

樋口武男(ひぐちたけお)さん
大和ハウス工業会長・CEO
樋口武男(ひぐちたけお)さん 1938年兵庫県生まれ。61年関西学院大学法学部卒業後、鉄鋼商社勤務を経て63年、大和ハウス工業に入社。84年取締役、89年常務、91年専務を経て、93年、債務超過寸前のグループ会社、大和団地社長に就任。経営再建を果たす。2001年大和ハウス工業と大和団地の合併に伴い、大和ハウス工業社長に就任。04年から会長兼 CEO(最高経営責任者)を務める。

この記事は日経Gooday 2016年5月20日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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