仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今日は大和ハウス工業の樋口武男会長・CEO(78歳)の第3回目。ゴルフ上達の根っこには、幼い頃のおばあちゃんの教育がありました。
クラブの近くに自宅を建てるほどのゴルフ好き
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2015年4月、ザ・カントリークラブ・ジャパン(千葉県)でのプレー中
目下の趣味はトレーニングとカラオケとゴルフ。
今の場所に自宅を建てたのは、メンバーになっているゴルフクラブまで車で7、8分と近いから。今から20年くらい前に新築しましたが、女房や子供の意見は聞いていないよ。息子や娘はね、「ほかにもいいところがあるじゃないですか」と言ったけど、「お前らは好きな所に住んだらええ。おれはゴルフのためにここに住むんや」と譲りませんでした。
ピーク時、年間80回くらいはプレーしていました。夏に4日連続でやったこともある、若い頃ね。半月板のケガをしてから脚が痛むことがありますが、コースはできるだけ歩くようにしています。ゴルフをやれないくらいに体に不安が出てきたら、経営の第一線にいるべきじゃないと考えています。
今は1年に60回程度。60歳でシングルになり、70歳まで維持して、75歳でエイジシュートを達成しました。
ゴルフを始めたのは31歳のとき、最初は160 以上たたきました。ゴルフの腕前を上げる秘訣? 仕事帰りにゴルフ練習場に行って打ち込んだり、上手な人を観察して技術を盗んだりとか、全部独学です。
あとはね、家の玄関を上がる所に緞通(だんつう、じゅうたんの一種)が敷いてありましてね。そこにピンポン玉を置いて廊下でアプローチの練習をよくしました。ピンポン玉なら、どこに当たっても傷つけへんでしょう。やわらかく打ったり、強く打ったり。
負けん気は強いから、とにかく独学で練習した。
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これを繰り返しひたすら続けたら、寄せワン(グリーンでピン近くにアプローチしたボールを一発でカップインすること)でパーが取れるようになった。
負けるのが嫌だから、50代後半などはこうして練習に励んでいました。
おばあちゃん譲りの負けず嫌い
僕はものすごく負けず嫌いで、闘争心が人一倍強い。ゴルフがうまくなったのは、そういう性格だったからだと思う。
僕をそんなふうに育ててくれたのは、明治生まれの五黄の寅(ごおうのとら)の樋口シモさん。おばあちゃんや。
厳しいし優しい人やった。ようかわいがってくれるけど、間違ったことをしたら徹底的にやられる。「うそとごまかしは絶対にあかん」「人さまに迷惑をかけることはならん」「けんかしたら絶対に勝て」、これが、おばあちゃんの教えの3つです。
おばあちゃんにたたかれたら、行くしかないでしょう。
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小学校5年生のとき、近所の中学生に泣かされて帰ったら、竹光(たけみつ、削った竹を刀身に見せかけて作ったもの)で頭をバチーンとたたかれ、もう一回行けと言われる。しょうがない、やり返しに行ったよ。行かな、おばあちゃんが怖いから。
樋口シモさんがどんだけ気が強かったかというと、亡くなったら火葬をして骨拾いをするでしょう? おばあちゃんの骨は拾えなかった。そのくらい骨がもろくなってしまっていたんです。火葬場の人にも、「私は20年以上ここに勤めているが、こんな骨は初めて。ほんまに生きてはったんですか」と聞かれた。「生きていましたよ」と答えたら、「この人は気力だけで生きていましたよ」と言っとりましたな。
おそらくかなり辛かったはずだけど、周りにそんな素振りをちっとも見せることなく、最後までおばあちゃんは強気のままや。僕はそこまでにはとてもなれないと思うけど、手本にしたいと思う。
ゴルフでも何でも上達するためにはコツコツ練習せんといけません。継続は力なり。一番大事なのは強い意志です。大きく言えば、将来どういう人間になりたいとか、どういうことをしたいという志が明確でないと頑張れない。頑張るためには根性が要る。古くさいようやけど、僕はそう思います。
(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子)
樋口武男(ひぐちたけお)さん
大和ハウス工業会長・CEO

1938年兵庫県生まれ。61年関西学院大学法学部卒業後、鉄鋼商社勤務を経て63年、大和ハウス工業に入社。84年取締役、89年常務、91年専務を経て、93年、債務超過寸前のグループ会社、大和団地社長に就任。経営再建を果たす。2001年大和ハウス工業と大和団地の合併に伴い、大和ハウス工業社長に就任。04年から会長兼 CEO(最高経営責任者)を務める。
この記事は日経Gooday 2016年5月18日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。
この記事はシリーズ「「一に健康、二に仕事」 from 日経Gooday」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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