腸内フローラでも、重要なのは「多様性」

 腸内フローラには個人差があると述べたが、いい腸内フローラの共通点は何だろう。

 「近年の研究で、病気の人は腸内フローラの多様性が低下していることが分かっています。この “多様性” がキーワード。おなかの中にいろいろな種類の腸内細菌がいるということは、いろいろな状況に対応ができるということですので、もしかするとこれが健康につながるのかもしれません」(福田さん)。

 これは、人間社会に置き換えてみると分かりやすい。会社が予期せぬアクシデントに見舞われたとする。特定の分野に強い人ばかりの会社では、分野外のアクシデントには全く対応できない。一方、いろいろなタイプの人がいれば、救われるケースは少なくない。腸内フローラも予期せぬアクシデントはつきものなので、その生態系を維持するには、多様性が重要ということなのだろう。

食物繊維の中でもエサにしやすいのは「水溶性」

 食物繊維は穀類、イモ類、豆類、野菜、きのこ、海藻、果物などに豊富に含まれている。食物繊維には2種類あり、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に大別される。

 「不溶性食物繊維はその物理的性質から、腸内の成分を巻き込んで排出する特性があります。仮に腸内に有害物質があった場合には、これらを巻き込んで排出してくれます。一方、水溶性食物繊維は不溶性食物繊維よりも腸内細菌が分解しやすいため、エサになりやすい」(福田さん)

 ほとんどの食品は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を併せもっているが、水溶性食物繊維を多く含む食品を意識してとるのが、腸内細菌による良い発酵を促すポイントだという。

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 上の表にはないが、海藻には水溶性食物繊維のアルギン酸が多く含まれている。麦ごはんとわかめのみそ汁、ひじきの煮物、きんぴらごぼう、納豆といった昔ながらの日本食には、水溶性食物繊維が実に豊富だ。

 和食は世界に冠たる健康食だが、腸内フローラという観点から見ても優れているようだ。「この半世紀で、日本人の食生活は欧米化し、高脂肪、高カロリー、低食物繊維になりました。このことが日本人の腸内フローラのバランスを乱す原因の一つになっていると考えられます。食事に関しては、原点回帰が一つのヒントになるかもしれません」(福田さん)。