測定にかかる時間は2分間。左右の人差し指を機器に差し込むだけだ。指先に当たるセンサーには、電極と、血中ヘモグロビンを検知するための発光・受光装置が組み込まれていて心拍などが測れる仕組み。自律神経のバランス(交感神経と副交感神経の働きの比率)はもちろん、測定したデータを男女2000人分の計測データを基にした基準値と比較し、自律神経が年齢に見合った働きをしているかなども判定できる。

 「東日本大震災の半年後、被災地市職員に対して宮城大学が実施した健康調査の中で自律神経機能についても調べたところ、交感神経系の過緊張が認められる人が多く、これが疲労と関連していることがわかりました」(倉恒さん)

 健康な人では、緊張して一時的に交感神経が上がっても、しばらく安静にしていると、交感神経と副交感神経の比率はだいたい1:1に保たれるという。しかし、慢性的な疲労状態の人は、安静にしても交感神経が高いままなかなか下がらない。

 一方、副交感神経は、健常の場合、寝ているときは日中の3倍くらいに上昇するが、慢性疲労の人にはその上昇が見られない。そのため、寝ても疲れがとれないという悪循環に陥るのだ。

 この自律神経バランスの検査は、大阪市立大学健康科学イノベーションセンターで受けられるほか、疲労を専門とする医療機関で機器を導入しているところもあるという。

指先で心拍を計測
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自律神経機能がどの程度かが分かる
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機器の両側から左右の人差し指を差し込み約2分で測定完了(左)。検査結果表には、交感神経と副交感神経のバランス(比率)や自律神経機能年齢が表示される(右)。自律神経のバランスは通常0.8以上2.0未満が正常、2.0以上5.0未満が注意、5.0以上は要注意。(画像提供:疲労科学研究所)

疲れたときの体の変化(2)血中の活性酸素が増える

 疲れているときは、血中の活性酸素が増え、酸化ストレスが増えていることもわかってきた。

 血中の活性酸素は日中に2~3時間労働や作業を行うだけで増え、それに伴い酸化ストレスが上がる。健康な人では、酸化ストレスが上がると同時に、それに対抗する抗酸化力も上がり、バランスが保たれているが、長時間作業を続けるなどした場合、抗酸化力が上がらなくなってバランスが崩れる。さらに、慢性疲労に陥ると、抗酸化力が低下してより酸化ストレスが上がる

 こうした酸化ストレスの程度も疲労の指標となり、血液検査で血液中の脂質、タンパク質、アミノ酸の総和の酸化度を測ることによって数値で示すことができる。酸化ストレス(抗酸化力)はアンチエイジング専門のクリニックなどで測定することができるという。