全頭型でも、6~7割は治療で症状改善

 このほか「朝起きたとき、枕に抜けた毛がたくさんある」「洗髪時にごっそりと髪が抜ける」といった症状を併せ持つときも要注意だ。

 初期の円形脱毛症では局所の免疫反応を抑える作用のあるステロイドの外用薬を塗布する治療を行う。また、症状の拡大が心配される場合はステロイドを皮下に注射する。花粉症などアレルギーを持つ患者に起こりやすいのも特徴で、アレルギー反応を抑える飲み薬などを併用する場合もある。

 齊藤部長は「そのほか、皮膚科でイボの除去に使われる液体窒素や化学物質、レーザー光などを当てることで、局所の免疫反応を抑えたり、発毛を促す方法もある。こうした治療法を組み合わせることで、全頭型にまで症状が進んだ場合でも60~70%のケースで症状が改善するようになった」と話す。

小さい円形脱毛には増毛スプレーを使う手も

 円形脱毛症に最初に気づくのは理髪店が多い。気を付けている理髪師が少なくないからだ。小さな脱毛の場合、理髪師と相談しながら目立ちにくい処理をしてもらうといいだろう。いわゆる薄毛対策に用いられる増毛スプレーを使う場合もある。

 隠しにくい大きさになったら、帽子、医療用ウィッグ(かつら)などが用いられるが、進行している場合は脱毛範囲が変化するので、ウィッグを作るときは医師のアドバイスを受けた方がいい。こうした問題があるので、男性の場合、全体を剃って坊主頭にする人も増えた。男性型脱毛の対策としてビジネス社会でも一定の理解を得られるようになったからだ。

 齊藤部長は「円形脱毛症は、身近な“不調”であると同時に、現在でも新たな治療法の登場が期待される難病でもある。医師とよく相談のうえ、適切な治療法、対処法を取り入れてほしい」と話している。

齊藤典充(さいとう のりみつ)さん
横浜労災病院 皮膚科 部長
齊藤典充(さいとう のりみつ)さん 1993年北里大学医学部卒業。2006年北里大学病院皮膚科 講師。2011年国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長。2012年北里大学病院皮膚科講師。2014年から現職。日本皮膚科学、日本研究皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本皮膚外科学会、日本アレルギー学会に所属。

この記事は日経Gooday 2015年7月10日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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