コーヒーは胃にいい? 悪い?

コーヒーは胃に悪いというイメージを持っている人も多いですよね。実際私も、コーヒーを空腹時に飲むと、体調がよくないときなどに胃に不快感を感じることがあります。コーヒーが胃を悪くすることはありませんか?

福島さん 確かに、空きっ腹でコーヒーを飲むのは良くない場合があるかもしれません。なぜなら、カフェインには胃酸分泌を促進する作用があるため、もともと胃酸過多の人が空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸によって胃粘膜にダメージを与える可能性があるからです。

 ただし、「健康な人がコーヒーを飲むことによって胃を悪くするか」というと、そうではなさそうだと考えられます。8013人の健康な日本人男女を対象に行われた横断研究によって、コーヒーは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎のいずれにも影響を与えないことが示されています(PLoS One,8(6),e65996, 2013)。むしろ、胃の疾患リスクを明らかに高めるのはピロリ菌感染や喫煙です。

コーヒーを飲むとトイレが近くなって困るという人もいますね。

福島さん カフェインのマイルドな利尿作用によるものですね。これは、カフェインを含む緑茶などでも同様に見られる現象です。コーヒーの利尿作用は実はそれほど強くないのですが、気になる方は、カフェインの摂取を控えたほうがいいかもしれません。睡眠の質への影響もありますので、コーヒーを飲んでもぐっすり眠れる、という人でも寝る前は、カフェインレスにすることをおすすめします。

なるほど、コーヒーの不安を払拭する研究も多く行われているのですね。1日3~5杯という適量を考慮し、寝る前のカフェイン入りのコーヒーは控える、といったことを心がければよいのですね。

福島さん コーヒーに限らず、どんな飲み物、食べ物でも言えることですが、それぞれ個人の適量を、おいしく楽しんでいただくことが大事だと思います。

 コーヒーは世界中で多くの人に飲まれています。日本でも今では、コーヒーがたくさん飲まれるようになりましたが、それでも欧米よりも少なく、一人当たりの摂取量は北欧各国の半分以下です。まだまだ伸びる余地はあると思います。正しい飲み方を知って、より多くの人に楽しんでもらえると嬉しいですね。

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 コーヒー特集も、残すところあと一回。最終回は、実践的なコーヒーの飲み方を紹介します。コーヒーの煎り方による成分の違い、フィルターを使ってカラダに悪い成分を取り除くなど、コーヒーパワーを上手に引き出すテクニックを紹介していきます。ご期待ください!



福島洋一さん
ネスレ日本 ウエルネスコミュニケーション室室長
福島洋一さん 1988年、東京農工大学農学部農芸化学科卒業、1990年に同大学大学院修了後、ネスレ日本株式会社に入社。1999年博士号(農学)取得。ネスレ中央研究所(ローザンヌ)、ネスレリサーチ東京R&Dプロジェクトマネージャーを経て2010年より現職。

この記事は日経Gooday 2016年3月1日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。