日本人はカフェインの多くをコーヒーとお茶から摂取している
福島さん 代表的な飲料に含まれるカフェイン量を比較したのが下のグラフです。
コーヒーは約100mL当たり、40~60mg程度含まれています。1杯を150mlとした場合は、60~90mg程度となります。エナジードリンクのカフェイン量は種類にもよりますが、コーヒーと同じくらいか多めに設定されることが多いようです。デカフェといわれるカフェインレスコーヒーは、コーヒー豆からカフェインを除去する工程を入れたもので、カフェイン量は100mLあたり1~2mgくらいまで低減されています。
カフェインの摂取量や主要摂取源は、国や食生活により異なりますが、日本ではコーヒーとお茶の2つが突出した摂取源となっています。
医薬品では、眠気予防薬、鼻炎用カプセル、解熱鎮痛薬や咳止め薬などに、数十mgから200mgくらい入っています。
コーヒーを飲むと、カフェインはどのくらいの時間で体内を巡り、どのくらいで出て行くのでしょう。
福島さん カフェインは、コーヒーを飲んでおよそ20~30分で吸収されて血流にのり、全身を巡ります。
カフェインの大きな特徴は、脳に作用するということです。多くの化学物質は、「血液脳関門」という脳のバリアによって脳内には入ることができませんが、カフェインはこの関門を通過して脳に到達するのです。
脳には、ドーパミンやノルアドレナリンといった興奮性の神経伝達物質の放出を抑える「アデノシン」という物質がありますが、カフェインはアデノシンと似た構造をしているために、アデノシンの働き、つまり「興奮抑制作用」をブロックし、脳を興奮、覚醒させると考えられています。
カフェインの半減期、つまり血中濃度が半分になるまでの時間は、個人差もありますが、4時間ほどとされています。
コーヒーは仕事のパフォーマンスを上げる
朝、目覚めて眠いときもコーヒーを飲むと覚醒するのはカフェインの働きですね。仕事の集中力を高めたいときにも役立ちそうです。
福島さん カフェインを75mg以上含むコーヒーを摂取した実験によって、「集中力を維持できる」という研究や、「カフェインが睡魔によるパフォーマンス低下を抑制する」という研究が報告されています。
脳への働き、というところでいうと、カフェイン摂取によってパーキンソン病のリスクが低下するという疫学調査の結果が多く報告されています。パーキンソン病は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの増強が発症に関与するとされる神経変性疾患ですが、カフェインが神経細胞の保護に役立っているのではないかと注目されています。
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