労災の損害賠償が減額されることも
職場健診を受けないと、懲戒処分となる可能性以外にも、大きなデメリットが生じ得る。
職場健診を受けないことで生じるデメリット
■会社から懲戒処分を科せられる可能性がある
戒告(厳重注意)やけん責(始末書を提出させて戒めること)が一般的だが、減給処分や出勤停止といった重い処罰を受けることもある。
■労災と認められない場合がある
過労などで病気になり、本来なら労働災害保険の補償対象となる場合でも、職場健診を受けず、治療もしていなかった場合は、労災認定を受けられないことがある。
■損害賠償請求で、過失相殺として賠償金を減額されることもある
会社に労災の損害賠償などを請求する場合に、職場健診を受けていなかったことを理由に、過失相殺として賠償金を減額されたケースもある。
例えば、過労や職務上の作業などに起因する病気の場合、通常は労働災害として、いわゆる労災保険の補償対象になる。また、こうした病気の責任を求めて、会社に損害賠償を請求するケースもあるだろう。こうした時に、職場健診を受けていなかったことで、本人の責任も問われる場合があるのだ。
「特に、脳疾患や心疾患など健診の検査項目と関連のある疾病では、健診を受けていなかったことが自己の健康管理義務を怠っていたとみなされ、労災と認定されなかったり、過失相殺として賠償金を減額されたりする判例も多くあります」(岩出氏)
どんなに忙しい時でも、職場健診は面倒がらずに受けておくことが、自身の健康と立場を守ることになるということだろう。
ただし、従業員には医師選択の自由が認められている。会社の指定した医師や医療機関での受診を希望せず、自身で人間ドックを受けているような場合は、その結果を証明する書面を会社に提出するといいだろう。
弁護士、ロア・ユナイテッド法律事務所代表パートナー

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弁護士、ロア・ユナイテッド法律事務所代表パートナー

この記事は日経Gooday 2014年12月26日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。
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