チューブを鼻から通す新たな療法も登場

 先に紹介した方法でも改善効果が見られない場合は、迷わず医療機関の耳鼻咽喉科などで受診することがお勧めだ。医療としてのいびき治療のうち、比較的軽度~中等度のいびきに有効なのがマウスピースを用いた物理療法だ。仰向けに寝るとき、下顎が落ちるといびきをかきやすいので、下顎や舌を前方に突出させる特殊なマウスピースを使うと有効だとされる。マウスピースは歯科などで歯形に合わせて作ることができる。

 また、新たな物理療法として登場したのが鼻腔挿入デバイス(商品名:ナステント、提供:seven dreamers laboratories、本社:東京都港区)で、池田主任教授も臨床応用を始めたという。これは、シリコンゴムでできた軟らかいチューブ。鼻から挿入し、口蓋垂(のどちんこ)付近まで通して一晩留置することで、気道の閉塞といびきを改善する使い捨て製品だ。「使用していることが分かりにくいので、効果のある人は旅行時などに使用できる」と池田主任教授。医師による処方箋が必要になるが、seven dreamers laboratoriesのWebサイトで購入できる。取り扱う医師も増えているので、耳鼻咽喉科で相談してみるといいだろう。

シリコンゴムのチューブを鼻から挿入していびきを抑える
[画像のクリックで拡大表示]
「ナステント」 7チューブ入りで4200円。別途、耳鼻咽喉科での初診料、検査料(全額自己負担)が必要となる。

 そして、一部の患者には手術治療が必要な場合もある。「アデノイド」(咽頭扁桃)の肥大や扁桃肥大がみられる幼児のいびきでは手術による切除が行われるが、大人の場合は生活改善などに効果のない場合に行うのが一般的だ。そのほか鼻づまりの解消のために、レーザーや低周波メスなどで鼻粘膜を焼く「鼻粘膜焼灼術」(びねんまくしょうしゃくじゅつ)などが行われる。

 なお、軟口蓋(なんこうがい)などノドの気道が狭くなる部分をレーザーで焼く治療なども試みられているが、池田主任教授は否定的だ。「重症の患者では、気道の幅広い部分が狭くなっており、効果が得られない場合が多いだけでなく、合併症をもたらすこともあるので行うべきでない」と池田主任教授は話す。

 また、現在のところ、「薬物による有効ないびきの治療法はない」(池田主任教授)という。

 50代を過ぎれば約半数の男性がかくいびき。SASの兆候に注意を払いながら、肥満解消に努めることが、いびき改善の第一歩といえそうだ。

池田勝久(いけだ かつひさ)さん
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科 主任教授
池田勝久(いけだ かつひさ)さん 1981年に東北大学医学部を卒業し、東北大学医学部附属病院耳鼻咽喉科に入局。1987年、アメリカ合衆国ミネソタ大学耳鼻咽喉科に留学。1993年、東北大学医学部附属病院講師。1999年、東北大学大学院医学系研究科助教授。2003年より現職。

この記事は日経Gooday 2015年5月13日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。