重要なことは、施術してから約1週間後にもう一度受診し、主治医に筋肉の動きを確認してもらうことだ。慶田院長は「A型ボツリヌス毒素の効果に左右差が出ている場合、表情に不自然さが出ることがある。その場合、筋肉の動きを確認しながら、必要に応じて再び注射による修正(タッチアップ)を行うことで自然な仕上がりになる」と話す。

 また、A型ボツリヌス毒素の効果は時間とともに弱まっていく。慶田院長は「最初の1年は4カ月ごとの注射治療を続けるといい。筋肉の動きが弱まれば、眉間にしわを寄せるクセも減ってくるので、次第に効果の持続時間が長くなる。その結果、2年目以降は治療回数を減らすこともできる」と説明する。どんな目的で、どれぐらいしわを改善したいのか、医師とよく相談しながら治療を続けるといいだろう。

治療費用は5万円、重症例にはヒアルロン酸注射も

 ボトックス治療の医療費や注意点などについても紹介しておこう。

 A型ボツリヌス毒素の注射剤は、まぶたや片側顔面のけいれん、首の傾きや震えなどいくつかの病気への使用が認められている。眉間の表情じわを治療するための注射剤(ボトックスビスタ)も2009年に承認されているが、こうした美容外科、美容皮膚科領域では健康保険の適用対象にはなっていない。

 そのため眉間をはじめとする表情じわの治療は、全額自己負担(自由診療)となる。費用は医療機関によって異なるが、銀座ケイスキンクリニックの場合は、タッチアップを含めて1回5万円程度だ。医療機関によっては、国内で未承認のA型ボツリヌス毒素製剤を輸入し、低価格で施術を行っている場合もあるが、こうした薬剤は国内で安全性を確認する臨床試験を行っていないことは事前に知っておく必要があるだろう。

 またボトックス治療だけでは、顔の印象が穏やかにならない場合もある。慶田院長は「男性は女性と比較して表情筋がしっかり発達している。長年かかってできた深いしわの場合、皮下組織の構造そのものに“折り目”ができてしまっている」と話す。その場合、眉間の筋肉を弱めただけでは元には戻らない。そのため、「ヒアルロン酸」を皮下に注入するなどの治療を行うことで、しわを目立たなくするという。

 さて、「男はハートで勝負」という言葉より「ビジネスマンは見た目が◎割」といった言葉にリアリティを感じる昨今。「まさかオレが美容医療なんて…」と思っているビジネスマンは多いだろうが、時に相手に与える印象で悩みを抱えている人にとっては問題解決の大きな糸口になるはずだ。

慶田朋子(けいだ ともこ)さん
医学博士。銀座ケイスキンクリニック 院長
慶田朋子(けいだ ともこ)さん 1999年、東京女子医科大学医学部医学科卒業。東京女子医大皮膚科 助手、都内皮膚科・美容クリニック 勤務を経て、2006年に有楽町西武 ケイスキンクリニック開設。2011年に銀座ケイスキンクリニック開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。

この記事は日経Gooday 2015年4月13日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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