表情筋の動きが作るしわが加齢によって深くなる

 驚いたときには眉が上がり、不快なとき、一生懸命ものを考えるには眉をひそめる。また物をじっくり見ようと目を細めることもある。こうしたとき、おでこには横方向に、眉間には縦方向にしわが寄る。また、大笑いすれば目尻にもできる。

 これらは誰にでも現れるしわだが、加齢とともに気になり始める人が増えてくる。美容皮膚科の専門家である銀座ケイスキンクリニック(東京都中央区)の慶田朋子院長は「表情筋によるしわは、若いうちなら、すぐに元通りになるが、皮膚を伸び縮みさせる表情をくり返していると、年齢とともに少しずつクセとなって、いつまでも残るようになる」と話す。

 表情筋のしわは、おでこ、眉間、目尻、口元、顎などにできやすい。女性の場合はどれも「老けて見える」と悩みの種になるが、男性で気にする人が多いのは、圧倒的に眉間である。

 実際、眉間に深いしわが寄っていると、どうしても「怒っているのでは」「気むずかしい人なのでは」と思われがちだ。「箔が付いていい」という考えもあると思うが、接客業などではマイナス面が多いのは明らかだろう。オフィスでも、部課長職が直接若手の意見を聞く機会が多いならば、見た目は「ソフト」な方がコミュニケーションは取りやすい。

ボトックス注射で表情筋の収縮を止める

 慶田院長は、「最近、こうした眉間の深いしわの相談で、美容皮膚科、美容外科を訪れる40~50代の男性が増える傾向にある」と話す。こうした男性患者に適した治療法の1つが「ボトックス治療」だ。

 この治療は、A型ボツリヌス毒素という成分を、眉間のしわの原因となっている表情筋に注射(筋肉注射)する施術だ。A型ボツリヌス毒素は神経の信号が筋肉に伝わるのを抑制するため、注射された筋肉は収縮しなくなる。この仕組みを応用して、頑固な表情筋のクセを治していく。ちなみに顔の大きなたるみやしわを改善する「フェイスリフト手術」などのように、顔にメスを入れる整形手術は必要なく、外来で治療可能だ。

 慶田院長は「女性の場合は、おでこをはじめ、顔の幅広い領域の表情筋を治療することが多い。一方、もともとおでこの横じわが目立ちやすい男性に対して、しわが全く寄らないように多めに注射を行うと、眉が動きにくい不自然な表情になる可能性がある。このため、おでこは過剰な収縮を抑える程度に少なめに注射し、眉間部のしわはしっかり治療することが多い」と話す。

 下図には、慶田院長が行っている注射部位を示した。眉毛の上の注射は「皺眉筋」(すうびきん)の動きを抑制する働きがある。注射治療を受けると3日ほどで眉間に寄せる筋肉の動きが弱まり、1週間後には深い縦じわが目立たなくなってくるという。

ボツリヌス毒素を注射する部位の例(慶田院長の場合)
ボツリヌス毒素を注射する部位の例(慶田院長の場合)

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