聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。

 みなさん、いいウンチしていますか?

 昔から、健康のバロメーターとして「快食、快眠、快便」といわれるように、お通じは私たちの健康と深くつながっている。世の中に出回っている健康情報を見ても、「腸にいい」「お腹に優しい」などと、お通じ関連の効能をうたうものが、かなり目立つ。

 それだけ多くの人が、ウンチに気を配っているのだろう。うん、実にいいことだ。

 そこで今回は、ウンチの基本に立ち返ってみたい。ウンチの素材に関する素朴な疑問や、お通じとの日々の付き合い方を、「日本うんこ学会」会長で消化器外科医の石井洋介氏に教えてもらうことにしよう。(関連記事「「日本うんこ学会」はムーブメントを起こせるか」を参照)

ウンチは「食べカス」だけではない

 まず、最初の質問。そもそも、ウンチは何でできているのだろう?

 「ウンチを単に『食事の食べカス』だと思っている人が多いですが、それだけではありません」と石井氏。一番多いのは水分で、これが全体の8割程度を占めるという。

 では、水分を除けば、あとは食べカス?

 「いやいや、『腸内細菌』がかなりの割合を占めます。それから、古くなってはがれ落ちた『腸粘膜の細胞』も大量に含まれます。それに『食べカス』、これは食物繊維が中心ですね。この3つが、水分を除いたウンチの主な成分です」(石井氏)

ウンチは何でできている?
ウンチは何でできている?
[画像のクリックで拡大表示]
「腸内細菌」と「腸粘膜の細胞」、「食べカス」がウンチの3大成分だ。

 仮に、1日の排便量を200グラムとして計算すると、160グラムは水。残りの40グラムが「腸内細菌」「腸粘膜の細胞」「食べカス」となる。この3つはそれぞれ10~20グラムといったところだろう。

 中でも重要なのが、腸内細菌。腸の中には総量1キロほどの細菌がすみ着いている。菌の種類は数百種にのぼる。その一部が、ウンチにも出てくるわけだ。

次ページ 腸粘膜の細胞は2日周期で生まれ変わる