加齢とともに椎間板の中が“干からびる”

年をとると椎間板が“干からびる”
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椎間板の中にあるゲル状の「髄核」の吸水力が落ち、弾力が失われると、変形や障害が起きやすい。典型的なのが、椎間板の一部が背骨の外に飛び出てしまう「椎間板ヘルニア」だ。

 通常、椎間板の弾力は、年齢とともに落ちていく。圧力による厚みの変化の幅も狭くなる。だから朝と夜の身長差は、高齢になるほど少なくなるという。

 「年をとると、髄核の吸水力が落ちるのです」と下出氏。髄核に含まれる吸水性のゲル成分は、加齢とともに減っていき、水分を吸って膨らむ力も弱くなる。老化に伴って、背骨の中が“干からびて”しまうわけだ。

 そして弾力が落ちた椎間板は、変形や障害も起きやすい。典型的なのが、椎間板の一部が背骨の外に飛び出てしまう「椎間板ヘルニア」。クッション性の衰えた椎間板が、圧力に耐えられず、壊れてしまう現象だ。

 体重60キロの人が中腰になると、テコの原理で、椎間板には150キロほどの圧力がかかるという。椎間板は、瞬間的には数百キロもの荷重に耐えられる強い組織だが、加齢によって弾力が衰えたところに、長年の負担が積み重なれば、壊れてしまうこともある。

人類は2本足で立ったことで、椎間板への負担が増えた

 「そもそも人類は、進化の過程で二足直立姿勢になったときから、椎間板を酷使する宿命を背負ったといえます」と下出氏は話す。

 背骨はもともと、動物の体の中を水平に貫く骨格だった。四足動物は今でも、その基本骨格を保っている。この構造において背骨は、「梁」(はり)のような役割を担う。

 ところが、今から700万年ほど前、人類の祖先は二本足で立ち上がった。この瞬間、それまで「梁」だった背骨の役割が「柱」へと一変し、椎間板に大きな負荷がかかるようになった。人間が無理な姿勢へ進化したから、椎間板が壊れやすくなったという側面もあるわけだ。