椎間板は圧迫されると縮み、圧迫が解けると膨らむ

背骨の椎間板が伸び縮みして身長を変化させる
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椎間板が水を吸って厚みが増す朝には、身長が高くなりやすい。一つひとつの椎間板の厚みが1ミリ程度変化すれば、全体で2センチ以上変わることになる。(©Peter Lecko-123RF)

「その秘密は、背骨の構造にあります」と下出氏は言う。

 背骨は、1本の骨ではない。骨盤の上に、椎骨(ついこつ)という骨が24個も積み重なってできている。小さな骨が連なっているから、全体が滑らかに曲がったりねじれたりできるわけだ。

 椎骨と椎骨の間に挟まっているのが、椎間板(ついかんばん)。これは弾力性に富む組織で、背骨にかかる重さを支えるクッションの役割を果たす。

 椎間板は、外側を線維輪(せんいりん)という硬い組織が囲み、その中に、ゲル状の成分が詰まっている。この中心部が「髄核(ずいかく)」。これがクッションの本体だ。

 「髄核は、紙おむつのように吸水性が高い成分でできています。ここに圧力がかかると、じわじわ水分を放出して縮み、圧力から解放されると再び水分を吸い込んで膨らむのです」と下出氏。

 夜、寝ているときは、椎間板にかかる圧力が小さい。そのため髄核は水分を吸ってゆっくりと膨らむ。椎間板の厚みが増し、朝には身長が高くなっている。起きているときは椎間板が圧迫されるので、髄核が水分を放出して薄くなる。だから日中は背が縮むわけだ。

 計算上、一つひとつの椎間板の厚みが1ミリ程度変化すれば、全体で2センチ以上変わることになる。椎間板のわずかな変化が、身長を大幅に伸び縮みさせるのだ。

 「宇宙飛行士が宇宙遊泳から帰ってくると、身長が4~5センチも伸びていることがあるそうです」と下出氏は言う。重力がなくなると、椎間板はそこまで膨らむのか。すごいものだ。