海外出張時の長時間のフライトを、お酒とともに過ごす左党は少なくないだろう。酒飲みでなくても、「お酒を飲んでさっさと寝る」という人も多いのでは。一般に、飛行機での飲酒というと「酔いが早いから気を付けよう」と言われるくらいだが、実はもっと怖いことがあるという。そこで今回は、飛行機内での飲酒についてまとめた。

「飛行機で酒を飲むと、いつもより酔っぱらう」
左党はもちろん多くの方の間で、まことしやかに言われている「飛行機泥酔説」。私も飛行機でビールを飲んだとき、たった1缶しか飲んでいないのにいい気分になり、さらにはいつもほとんど変わらない顔色がいきなり真っ赤になったことがある。普段、チェーサー代わりにビールを飲むこともある私にとって、これはかなりの大事件。以来、飛行機で酒を飲むのは控えるようにしている。実際、飛行機で酒を飲んで酔いやすいと感じた方は少なくないのではないだろうか。
しかしなぜ、地上よりも飛行機で飲むほうが酔いが早いのだろう? 単に旅気分が酔いを助長させているような気もするのだが…。
「エコノミークラス症候群」との関係性も?
ネットで飛行機内での飲酒と酔い方の関係を調べていると、機内での飲酒は単に「酔いやすい」だけでは終わらない危険性を含んでいるようなのだ。いわゆる「エコノミークラス症候群」との関係性である。
エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で座り続けていることで、下肢の血流が悪くなることによって血栓ができ、その血栓が何らかの拍子に肺に届き、動脈を詰まらせてしまうというものだ。熊本地震に関連して、避難者の中でエコノミークラス症候群によって亡くなった方がいると大きく報道されたことをご存じの方も多いだろう(こちらの記事を参照)。今回のように、重篤な場合は死に至ることがある。そんな恐ろしいエコノミークラス症候群と機内での飲酒が関係あるとは!
単に酔いやすいだけならまだしも、生死にかかわるとなると、これはもうただごとではない。そこで今回は、日本航空 健康管理室主席医師を経て、「渡航医学センター 西新橋クリニック」を開院する大越裕文院長に機内でのアルコール摂取について話をうかがった。
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