普段の生活状態で健診を受ける

 「酒量を減らす」「おつまみに気をつける」――これらは幾度となく繰り返し言われてきたこと。まずはこれらを守るべく努力するとして、これ以外に気をつけるべきポイントは何かあるのだろうか。

 「定期的な健診を受けることです。ここで最も大事なのは、健診前だからといって、お酒をやめないこと。健診は普段の生活状態で受けなければ意味がありません。お酒をやめて、いい結果が出たとしても、それは一過性のもの。自身の肝臓の本当の実力を知るため、また今のペースでお酒を飲んで、どれだけ肝臓がダメージを受けているかを直視するためにも、健診の前も普段通りの生活を送ることをおすすめします」(浅部先生)

 実に耳が痛いアドバイスである。だが、健診はいい数値を出すことが目的ではない。今の自分のカラダの状態を正しく知ることが大切なのである。検査結果が悪かったら1カ月は酒をやめ、再検査する。それでも数値が悪いようなら、アルコールとは別の原因が考えられる。隠れている病気を見つけるためにも、「健診前だけ断酒する」という“その場しのぎ”はもうやめよう

 浅部先生によると、検査結果でチェックすべきポイントは中性脂肪(TG)の他、肝臓の解毒作用に寄与するγ-GTP、肝細胞がどれだけ壊れたかの指針となるALT(GPT)の3つだという。ただし、脂肪肝の場合は、血液検査に加え、超音波検査やCTスキャンと合わせて診断してもらうのが確実である。

 脂肪肝が増えていることもあってか、脂肪肝への効果をうたったサプリメントも多く登場しているが、「肝臓に効かせようとするサプリメントは、逆効果になる場合もある」という。特にβカロチンやビタミンEなど脂溶性のものについては、カラダに蓄積する可能性があるので、素人判断で飲むのは避け、医師に相談してから飲むほうがいい。

 「脂肪肝に効く」という確実なエビデンスがあるのは、食事療法と運動療法の2つのみ。酒量を控え、適度な運動とバランスの良い食事こそが特効薬となる。

浅部伸一(あさべ しんいち)さん
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器科講師
浅部伸一(あさべ しんいち)さん 1990年、東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院消化器科等に勤務。国立がんセンター研究所で主に肝炎ウイルス研究に従事し、自治医科大学勤務を経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に肝炎免疫研究のため留学。帰国後、2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器科に勤務する。専門は肝臓病学、ウイルス学。好きな飲料は、ワイン、日本酒、ビール。

この記事は日経Gooday 2016年3月22日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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