アルコール代謝中は、脂肪の燃焼が阻害される

 浅部先生は、大量のアルコール摂取が脂肪肝につながる理由は2つあると解説してくれた。

 「まず、アルコールは中性脂肪の材料になるんです。肝臓に運ばれたエタノールは、アルコール脱水素酵素(ADH1B)によって、まずアセトアルデヒドになり、次にアルデヒド脱水素酵素によって酢酸となります。その後アセチルCoAを経て、最終的にエネルギーを生むとともに脂肪酸を生成します。この脂肪酸こそが中性脂肪のもととなるのです」

アルコールの代謝のプロセス
アルコールの代謝のプロセス
アルコール(エタノール)は、約90%が肝臓で代謝される。エタノールは「アセトアルデヒド」「酢酸」を得て、最終的にはエネルギーと脂肪酸になる
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 「もう1つの理由は、アルコールが肝臓で代謝されている間は脂肪の燃焼が阻害されるからです。普段、私たちのカラダは脂肪酸を「β(ベータ)酸化」によって代謝しています。β酸化とは脂肪酸を酸化して、最終的に細胞が必要とするエネルギー源を生成するプロセスのことです。しかし、アルコールが肝臓で代謝されている間はβ酸化が抑制されてしまうため、脂肪が燃焼されにくくなります。代謝されない過剰な脂肪酸は肝臓に蓄積されやすくなります。そのためお酒好きの方は脂肪肝になりやすいのです」(浅部先生)

 なるほど、「大量飲酒は脂肪肝に向かって一直線」というわけだ。実際、浅部先生によると、「1日の純アルコール摂取量が60g(日本酒にして3合)を越えている場合、アルコール性脂肪肝であることがほとんどです。アルコールの摂り過ぎが脂肪肝につながることは、教科書にも載るくらい、医療の分野では常識中の常識」だそうだ(しかし、私はそんな常識を知らなかった…)。

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