どうしても寝酒が止められなければ…

 それでも「どうしても寝酒が止められない」という人は、ズバリ“奥の手”を使うしかない。

 「様々な研究報告でも知られていることですが、睡眠の質が低下すると高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームといった生活習慣病のリスクを上げます。またアルコールが持つ『筋弛緩作用』によって喉の筋肉が緩むために、気道が狭まり、『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』や、いびきの悪化といった原因にもなります。こうしたリスクを知ってもなお、寝酒を止められない人は、思い切って睡眠外来などで相談し、医師が処方する睡眠導入剤を飲むことをお薦めします。日本人はとかく睡眠導入剤を怖がる傾向がありますが、医師として薬学的見地から言えば、ヒトの体を数時間でベロベロにさせるアルコールのほうがよっぽど怖い(笑)。今は常習性のない睡眠薬も開発されているので、検討する余地は十分にあると思います」(佐藤院長)

 寝酒を使って「良く眠れた」と思っても、翌日の仕事で効率が上がらなかったり、仕事中に睡魔が襲ってくるようであれば、それは睡眠の質が十分ではなかったと自覚すること。快適で上質な睡眠を得るためにも、酒は“手段”にせず、“楽しむこと”に徹するのが正解のようだ。

佐藤 幹さん
新橋スリープ・メンタルクリニック院長
佐藤 幹さん 医学博士。1997年東京慈恵会医科大学卒業、同大学精神医学講座入局後、2003年~10年まで同大学付属病院本院精神科外来勤務。睡眠障害を中心に、精神科領域全般における診療を行なう。睡眠学を専門とし、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、時差ぼけ、不眠症などの研究を行う。特に不眠症に関しては認知行動療法を取り入れた治療法を研究。2010年、不眠症治療の研究にて学位(博士号)取得、同年「新橋スリープ・メンタルクリニック」を開設。

この記事は日経Gooday 2015年10月28日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。