寝酒の習慣が睡眠障害の原因に、うつのリスクも!

 佐藤院長によれば、アルコールに頼り続けて、睡眠の質が低下した状態が慢性化してくると、やがて『過覚醒』と呼ばれる心身が一定の緊張状態を続ける生体防御反応を起こすようになるという。「身近な例で言うと、徹夜明けで心身は疲れて眠いのに、ベッドに入っても頭が冴えて眠れない状態です。こうなると、睡眠のリズムが狂うだけではなく、交感神経が活発に動く状態が続くことで、わずかなことでイラついたり、キレたり、ひどい時はうつ病に至ることもある」(佐藤院長)。

 ここまで聞いてくると、寝酒による身体への影響は、我々が想像していた以上に大きい。では寝酒を止めたら、すぐに上質な眠りを得ることができるのだろうか?

 「これまでの治療経験から言えば、一度、過覚醒の状態まで乱れてしまうと、アルコールを止めたとしても、半年前後は正しい睡眠リズムに戻りにくいと感じています」(佐藤院長)

寝酒に頼る前に「睡眠衛生」のチェックを

 寝酒を止めてもなお、しつこくつきまとう睡眠障害のリスク。「家に酒を置かないこと」が、寝酒を止める一番の近道だが、左党にとってそれはあまりにも厳しすぎる選択。ストレスなく、すぐに実践できる改善策はないものだろうか?

 「もちろん眠るための手段に酒を用いるのはお薦めしませんが、『食事を楽しむため』『リラックスするため』の飲酒は、適量を守りさえすれば、むしろ睡眠に悪影響を及ぼしにくいと考えています。万が一、飲み過ぎてしまったら、血中アルコール濃度を下げるため、寝るまでに水を飲んで『ウォッシュアウト』を行うといいでしょう。そうしたことを踏まえた上で、まずは寝酒を止め、眠るために必要な『睡眠衛生』を守れば睡眠の質は徐々に向上すると思われます」(佐藤院長)

佐藤院長による「睡眠衛生」チェックリスト

・入浴(またはシャワー)は就寝2時間前に済ませる

・湯船の温度は40度前後のぬるめに設定する

・寝る1時間前にはスマホやパソコンを使用しない

・深夜に、コンビニなどの明るい場所に行かない

・平日も休日も、朝は同じ時間に起床する。

 実際に患者をカウンセリングする際にも使用される『睡眠衛生』のチェック項目を見る限り、「入浴するタ時間」「湯船の温度」「目から入る光のコントロール」「起床時間」…と、どれも小学生でもできそうな生活習慣の最低限の見直しばかり。そう難しいことはなさそうだ。