寝酒に頼った誘眠作用は3~7日でなくなる!?

 「入眠後に訪れる徐波睡眠だけを見れば、寝酒は睡眠の質を高めそうに思えます。ですが、アルコールによってもたらされる反跳性作用(はんちょうせいさよう)によって、深い眠り(ノンレム睡眠)から切り替わった後の浅い眠り(レム睡眠)が長く続くために、中途覚醒を招きやすくします。つまりアルコールは、睡眠全体を見ると質を低下させてしまうのです」(佐藤院長)

 では、睡眠の質を下げる「反跳性作用」は、アルコールの何が引き起こしているのだろうか。 

寝酒は入眠を促進し「徐波睡眠」を増やす
アルコールの作用で、入眠が早くなり、ステージ3、4まで到達する時間も早くなるために、「徐波睡眠」が増えると考えられている。しかし、その反跳性によってレム睡眠が長くなり、これが中途覚醒の要因になるとされる(グラフは取材を基に編集部で作成したイメージ)。
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 「それはアルコールを肝臓で分解する際に生じるアセトアルデヒドにあります。この物質は血液を通して脳内で増えることによって交感神経を優位にするために、睡眠時における正常な脳の休息を阻害します。これが中途覚醒の要因になります」(佐藤院長)

 続けて、佐藤院長はこう指摘する。「寝酒を習慣にしても、だんだん寝つきが悪くなったり、中途覚醒が増えたりすると、お酒の力にさらに頼ろうとする人がいますが、これはかえって逆効果。アルコールに依存した誘眠作用は3~7日もすると効きが悪くなってくるために、無意識に量を増やしてしまう原因にもなる。睡眠の質をますます低下させるうえに、アルコール依存症といったリスクを上げる危険性があります」。

 例えば、最初のうちは350mLのビール1本の寝酒で済んでいたが、500mL、1L…とだんだんと酒量が増えていたり、アルコール度数の強い酒に頼り出したりしたら要注意というわけだ。

 「そもそもアルコールは、脳内に存在する抑制性の神経伝達物質であるGABAの中にある『GABAA受容体』と結びつくことで、リラックスや幸福感をもたらします。同時に、興奮性神経伝達であるグルタミン酸系を抑制(特にNMDA受容体の抑制)することで、入眠が促進されて、深い睡眠に早くたどりつけます。半面、GABAA受容体は“依存”も高めるために酒量を増やすと考えられています。先に申し上げた、アルコールによる入眠作用が3~7日で効かなくなってくることが加わると、最初に350mLで“効いた”ものが500mL必要になり、500mLが1Lに…となる。寝酒に頼らずに寝る習慣を取り戻すことが大切なのです」