人の健康状態を見た目から診断する「望診」。漢方3000年の歴史が凝縮された“見た目の診断学”だ。前回は、日本薬科大学教授の丁宗鐵氏に、舌や爪の状態から健康を推し量る技を紹介してもらった。続けて今回は、皮膚の色や見た目の若さなどから健康状態を判断するための知恵をお伝えしよう。
手のひらや鼻の赤みは肝臓病のサイン
手のひらや指先、顔色が白っぽいのは、貧血ぎみの場合に見られるが、一方、赤い場合はどうか。「肝臓に何らかの問題があることが多いです。特に、手のひらの親指や小指の下にある盛り上がった部分が赤くなっていたら、慢性肝炎や肝硬変などの病気が進行している可能性があります」と丁氏。これは「手掌紅斑」と呼ばれるもので、肝臓病のサインだという。
また、日焼け後の状態にも注意したい。もし鼻のてっぺんなど1カ所だけがやけに赤く焼けていたり、その赤みが2、3日たってもひかなかったりするなら、肝臓などの病気の前兆の恐れがあるという(図1)。「以前より日に焼けやすくなった、日焼けした肌が異常に黒いといった場合も要注意。一見、健康そうに見えますが、実は肝臓の排泄機能が低下して、色素沈着を起こしやすくなっていることが多いのです。また、過度な日焼けは、メラニン色素の排泄などで肝臓に余計な負担をかけることにもなります」(丁氏)。

パソコン作業や寝不足などが続き、目の下にクマができている人もいるだろう(図2)。単なる目の疲れと思いがちだが、これは脳の状態も反映しているという。「目は脳の“出先機関”といわれています。目だけでなく、脳でも充血やうっ血が起こり、血流が悪くなっていると考えられます」と丁氏。脳は硬い頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間。そのため、うっ血の影響が出先機関である目の縁に現れてくることがあるのだという。「クマのある状態を長年続けていると、将来、脳梗塞などの病気を起こす危険性もあります」と丁氏は指摘する。

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