爪に出る横線は体の悲鳴
爪は皮膚の一部。体調が悪いときは肌の調子が悪くなるように、爪にも健康状態が反映される。「爪は約3カ月で生え替わる。つまり、そこには3カ月分の健康情報が凝縮されています」と丁氏。その“情報”の一つが、爪の表面に少しへこんだ形で現れる横線だ(図1)。左右すべての爪に同じように出現する。実は、これはその部分の爪が作られたとき、体がとても過酷な状態にあったことのサインなのだそうだ。たとえば、仕事がハードで徹夜が続いた、インフルエンザにかかって何日も寝込んだ、女性ならひどい月経痛に苦しめられた、など。「本人はこのくらい大丈夫と思っていても、爪に横線が出ているようなら、明らかに赤信号。体が悲鳴を上げていることに気付いてください」と丁氏は助言する。
なお、爪には縦線が現れることもあるが、これは爪の「作りムラ」のようなもので、加齢や体力の低下が主な原因。20、30代で縦線がたくさんできるなら要注意だが、それ以外の場合はあまり心配しなくていいそうだ。
また、爪の生え際に、白く弧を描く「爪半月」は見えているだろうか。「爪半月が見えていると健康、見えないと不健康」などといわれるが、そんなことはないと丁氏は言う。「爪半月が大きいほど血液循環が良いといえるが、全部の爪に無くても問題はない。せめて親指に見えていれば大丈夫です」。
爪の形もチェックしたい。たとえば、爪が指先を包み込むように内側に曲がり、指先全体が太鼓のバチのように丸く膨らんでいたら、「ばち状爪(指)」かもしれない(図2)。肺がんや心臓病、肝硬変などの病気があるときになりやすい。逆に、爪が反り返っているなら「スプーン爪」の可能性がある。鉄欠乏性貧血などで起こりやすい。「ただし、爪が薄かったり弱かったりしても、スプーン爪のようになる。この場合は心配いりません」(丁氏)。
次回(後編)では、皮膚の色や見た目の印象から健康状態を探る漢方の診察法を紹介します。
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日本薬科大学 教授

この記事は日経Gooday 2014年11月13日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。
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