大腸がんに関しては、以前はリスクを下げる「可能性あり」に分類されていましたが、最新の情報では「データ不十分」となっています。

笹月さん 一昨年まとめられたコホート調査によって、がんリスクを上げるという新たな結果が出てきたためです。多くの結果はがんリスクを下げるか、中立的なものなのですが、研究を統合して解析するメタ解析の結果、関連性は見えなくなり、研究班で討議を行い、判定を下げたほうがよいだろうという結論になりました。このように、常に新しい研究結果も追加しながら判定して、その都度情報を更新しています。

 子宮体がんについては、2008年の多目的コホート研究の結果から、1日1~2杯、3杯以上飲むグループではそれぞれ、罹患リスクが低下しているという結果や、他の研究結果から「可能性あり」に分類しています。

 このように、大腸がんについては「データ不十分」となりましたが、がん予防に効果的な部位も示されています。コーヒーを適度に飲むことは予防的な手段の一つと判断できるでしょう

「糖尿病予防」効果と「抗酸化作用」の両面から効いている?

数あるがんの中で、なぜ肝臓がん、子宮体がんに対して、効果が期待できるのですか。

笹月さん 私たちは、コーヒーががんに作用するメカニズムの研究を直接しているわけではありませんが、肝臓がんや子宮体がんは糖尿病を発症するとかかりやすくなるがんであることがわかっています。一方で、コーヒーが糖尿病を予防することも、すでに多数報告されています。コーヒーによって糖尿病リスクが下がればがんリスクも下がる、ということは十分に考えられます。

 また、コーヒーにはポリフェノールの一種である抗酸化物質のクロロゲン酸が豊富に含まれています。クロロゲン酸には、血糖値を改善するほか、体内の炎症を抑える作用があります。クロロゲン酸を継続摂取することもがんに予防的に働いているのではないかと考えています。あくまで推測ですが、コーヒーは「糖尿病予防」効果と「抗酸化作用」の両面からがんを抑制する働きをしていると考えられます。

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