一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本企画、前回に引き続いてグロービス経営大学院学長で、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナーも務める堀義人さん(53歳)に登場していただく。堀さんは30代の時、今より10キロ太っていたという。苦労せずに無理なくやせたそのダイエット法について聞いた。
「朝食抜きダイエット」の効果にほくそ笑む日々
一番自分に合うダイエット法だと思うのは、「朝食抜きダイエット」。前日の夕食から翌日の昼までの約15時間に、余分な脂肪がどんどん燃焼していると想像すると笑いが止まりません。
[画像のクリックで拡大表示]
30代の時、僕は今より10キロ太っていました。当時は今以上に忙しくて仕事中心の生活でしたから。40代に入ってからいろいろなダイエットの本を読んで研究しました。
ダイエットの方法論は本ごとに様々でしたが、その中で僕が一番腑に落ちたのが「朝食抜きダイエット」でした。朝食を抜き、昼や夜はあまりカロリーを気にせず普通に食べ、お酒も飲んでいました。それでも、僕の場合、体重がすとんと減りました。おそらく自分に合っていたのでしょう。
考えるに、そもそも長い人類の歴史上、規則正しい生活をしようとしても、なかなかできなかったはず。朝食を含め3食取るようになったのは、ごく最近のことでしょう。
朝食を抜くというと、「栄養が不足するのではないか」と思われるかもしれませんが、今これだけエネルギー価が高い食物がある中で、朝食を食べたら逆に胃腸に負担がかかってしまうのではないでしょうか。やせるためには、できるだけ胃や腸の中を空っぽにする時間を増やすことが大事だそうです。すべて本からの受け売りではありますが(笑)。
「瞬眠力」も健康維持には不可欠
僕は今でも朝食を取っていません。会食などで食べ過ぎた日の翌日は少し食事を抜くようにしています。
例えば、朝食を抜くと、前日の夕食から翌日の昼まで食べないわけですから、15時間くらいあるんですよ。その間に体の余分な脂肪がどんどん燃焼してくれているんじゃないかと想像して、ほくそ笑んでいます(笑)。
僕は水泳、スノーボード、山登りなどいろいろなスポーツに取り組んでいますが、やせるには運動だけでは不十分だと思います。やはり何をどれだけ摂取するかは重要ですよね。
体を良い状態に保つには「栄養」と「休養」がやっぱり大切。
[画像のクリックで拡大表示]
体のコンディションをいい状態に保つためには「栄養(食事)」と「休養(睡眠)」が大切だと考えています。僕自身、どうしてもやりすぎてしまうところがあるので、努めて休むようにもしています。
睡眠時間を毎日6、7時間は取っています。僕はいつでもどこでも眠れるんです。常時アイマスクとイヤホンを持ち歩いていて、移動中はこれを着けてパッと寝ちゃう。「瞬眠」というくらいすぐに眠れるし、たとえわずかな時間でも頭がすっきりする。
ちょうどパソコンをシャットダウンして再起動するのと同じように、疲れてきて頭が働かないなと思ったら一瞬でも目を閉じて寝てしまいます。だから昼寝も大好き。時間が取れれば積極的に昼寝をしたいですね。
リーダーは健康でなければならない
仕事をする上で、可能な限りリーダーは健康でなければなりません。リーダーの役割というのは多くの人をインスパイアし、鼓舞し、勇気を与え、励まして、方向性を示し、仕事をする環境をつくることだと思います。
トップが不健康そうだったら、周りも「この人についていこう」と思わないのではないでしょうか。年齢によらずエネルギッシュで若々しくいるためには体力が必要で、それが周囲の人に活力となって伝わるのだと思います。日々の生活や仕事をより充実させるためにはやはり体が資本です。そういう意味で、僕個人としてもリーダーとしても健康には非常に気を使っています。
「様々なものがダイナミックな平衡状態にあるのが健康な状態である」というのを本で読んだことがあります。僕はこの一文にすごく納得感がありました。だからお腹が空いたら食事を取るし、疲れたら寝る。ダイナミックな平衡状態に持っていくことをいつも意識しています。
また体内ではいろいろなものが循環しています。血液しかり、リンパ液しかり。それらが滞ることなく、きちんと流れている状態が健康だと思います。だから僕は週に1回必ずマッサージにも行っています。これは昔からの習慣で、自分への投資だと思い、続けています。
(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子)
堀 義人(ほり よしと)さん
グロービス経営大学院学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー

1962年、茨城県出身。京都大学工学部卒業後、住友商事に入社。91年、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。92年、グロービスを設立し、代表取締役に就任。99年、ベンチャーキャピタル事業を手掛けるエイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年、グロービス経営大学院を開学。学長に就任。
この記事は日経Gooday 2015年10月8日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。
Powered by リゾーム?