若手には「自己愛・依存タイプ」が多い

 自己愛・依存タイプの人は、いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる人たちに多い傾向があります。過保護、過干渉の家庭や教育環境で育ってきた世代に多いといえるかもしれません。

 職場では“指示待ち”の傾向がありますが、自分に関心が寄せられている、尊重されていると感じられると、自尊心が満たされ、素直に仕事に取り組むでしょう。一方、つまづくことがあると、他者に責任を転嫁しがちです。自分が間違って理解していた、経験や能力が足りなかったといった思考にはなりにくく、正当化したがるのです。

 自己愛・依存タイプの人は「自分らしさ」に強いこだわりがあり、個性や自分磨きを大切にします。それがスキルアップにつながることがある一方で、自分のやりたい仕事や関心のある仕事だけを望む傾向もあります。しかし、実際にはその希望が叶うとは限らず、理想と現実のギャップから心が折れやすくなります

 自己愛・依存タイプとのコミュニケーションで最も大切なのは、自尊心を満たすように働きかけることです。このタイプの人たちは、自己愛や依存心が強い一方で、自己肯定感が低い傾向があります。そこに上司に認めてもらえない、関心を持ってもらえないと感じると、動揺したり、他責的な言動を取ったりすることもあります。そうした状況になっても、上司は部下の自尊心を傷つけないように傾聴に徹すると、次第に心を開いてくれるでしょう。

 部下の性格の傾向を把握し、配慮したコミュニケーションを心がけていても、部下が心身に不調を来すことはあります。その対応策は、次回のコラムでお伝えします。

  • 部下の折れやすい性格や気質のタイプを把握しておく
  • 真面目で臨機応変な対応が苦手な「メランコリー気質タイプ」は、変化が起きたときにケアを
  • 結果にこだわりすぎる「執着気質タイプ」は、燃え尽きないよう、適度な休息と睡眠を取るよう促す
  • 自己愛や依存心が強い「自己愛・依存タイプ」は、自尊心を満たすようなコミュケーションを

(まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

渡部 卓(わたなべ たかし)さん
帝京平成大学現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表、産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ
渡部卓(わたなべ たかし)さん 1979年早稲田大学卒業後、モービル石油に入社。その後、米コーネル大学で人事組織論を学び、米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAを取得。90年日本ペプシコ社入社後に米国本社勤務を経て、AOL、シスコシステムズ、ネットエイジでの幹部を経験し、2003年ライフバランスマネジメント社を設立。以来、職場のメンタルヘルス対策、ワークライフコーチングの第一人者として、講演、企業研修、教育分野、マスコミでの実績は海外も含めて多数に上る。著書に『折れない心をつくる シンプルな習慣』(日本経済新聞出版社)、『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』(インプレス)、『金融機関管理職のためのイマドキ部下の育て方』(近代セールス社)などがある。

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