朝食を抜くと、体は”時差ボケ”になる

 「夕食をとってから朝食までの間は基本的にものを食べませんから、朝食は1日の中で最も長い絶食の後に取る食事になります。英語で朝食を表すブレックファスト(breakfast)は、断食(fast)を破る(break)という意味。まさしく絶食明けの食事なのです。そこで鍵を握るのは、細胞に糖を取り込むインスリンというホルモン。食事をすると分泌量が増えますが、長い絶食をはさんだ食事の後は特に増加します。このインスリンが各臓器に働きかけて、時計遺伝子を始動させるのです」(柴田教授)。なるほど、朝食によってインスリンが増え、それによって朝のスイッチが入り、体内時計が新たな1日を刻み始めるわけだ。

 しかし、朝はぎりぎりまで寝ているから、朝食なんてろくに取らないという人も多いかもしれない。これでは臓器を目覚めさせる朝のスイッチが入らず、午前中はボーっとする、体温が十分上がらない、眠気が取れない…と、体調もいま一つになる。「こんな状態は体内時計のズレが修正されない“時差ボケ”のようなものだ」と柴田教授は言う。「各臓器をオーケストラに例えると、それぞれが勝手なリズムを刻んでいるような状態。いわば“朝食抜き時差ぼけ”ですね」。

夜遅い食事は体内時計を夜型にシフトさせる

 朝食抜きというライフサイクルには、寝坊以外に前夜の夕食も大いに関係している。まず、仕事から帰るのが遅いと、夕食時間も遅くなる。しかも、ずっと空腹を我慢していたから、ドカ食い、早食いになりやすい。翌日は朝が早いので、満腹のまま就寝…。これでは朝起きても、胃がもたれて食欲が湧かないのも無理はない。

 また、厄介なことに、夜遅い食事は体内時計を夜型にシフトさせてしまう。柴田教授は次のように説明する。「例えば朝7時に朝食を取り、昼食が昼の12時、夕食が夜22時、そして24時に寝て翌朝は7時に起きるとします。すると、昼食と夕食の間の絶食時間が最も長くなり、夕食が朝食のような存在になって朝のスイッチを押し、体内時計がリセットされてしまうのです。この結果、体内時計が夜型化していくことになります」。

夕食を食べる時間が遅いと体内時計が夜型にズレていく
夕食を食べる時間が遅いと体内時計が夜型にズレていく
12時の昼食の後、夜22時に夕食を食べると、夕食が1日の中で最も長い絶食明けの食事になる。夜なのに朝のスイッチを押して、体内時計がリセットされてしまう。
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