情報機器の液晶画面を見るのは寝る2時間前までに

 ブルーライトには強い覚醒効果があり、朝の目覚めを助けてくれる。これは逆に言うと、夜、ブルーライトを浴びると、睡眠の質が下がるということでもある。ブルーライトを発するのはLED照明だけでなく、液晶テレビやパソコン、スマートフォン、ゲーム機器のディスプレイなど、身の周りにたくさんある。「寝る前に、布団の中でスマホを見ている人が多いようですが、これは最悪。部屋の電気を消しているから、浴びるのはディスプレイからのブルーライトだけになるからです。睡眠の質が悪くなり、もちろん目にもよくありません」(古賀教授)

 古賀教授らは、寝る前にスマホを毎日1時間操作すると睡眠にどんな変化が現れるか、実験したことがある。それによると、寝つきまでの時間は変わらなかったものの、睡眠時間が減って、中途覚醒の回数が増え、翌日の活動性が低下したという。「スマホからのブルーライトをまともに受けることで、松果体でのメラトニン分泌が抑制され、その結果、睡眠の質が低下したと考えられます」(古賀教授)。

 本来、メラトニンの分泌は、朝の光を浴びると、その約15時間後から再び高まり、体を徐々に睡眠モードへと誘う。朝7時に起きる人なら、22時くらいから分泌量が増えてくるわけだ。そうやって体がせっせと眠りに就く準備をしているところに、スマホなどのブルーライトを浴びてしまうと、体は「あれ、今は夜じゃなかったの!?」と混乱を来してしまう。「スマホやパソコン作業は、就寝2時間前までに終えるようにしたい。もちろん、寝床に持ち込んではいけません」と古賀教授は注意する。

 

 ブルーライトは諸刃の剣。使うタイミングを間違えず、上手く使いこなせば睡眠の質の向上に役立てられる。

この記事は日経Gooday 2015年2月17日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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