30分以上の昼寝はかえって仕事効率を下げる

 ただし、昼寝で気を付けておきたいのは、寝過ぎないことだ。30分以上眠ると脳を休める深い睡眠に入ってしまうので、目覚めた後、眠気を引きずることになり、かえって仕事のパフォーマンスが低下する。また、体内時計のリズムが狂って夜の寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりする悪影響も出てくる。「働き盛りの人の場合は、長くてもせいぜい15分程度の“ちょい寝”がちょうどいい」と林教授。ただし、これは昼間に一時的に生じる眠気を減らすためのものであり、日ごろの睡眠不足を補うことにはつながらないそうだ。

 ちなみに、高齢者の場合は30分まで寝ても大丈夫だという。30分以下の昼寝習慣を持つ高齢者は、そうでない高齢者に比べ、アルツハイマー型認知症の発症リスクが5分の1だったという報告もある。

 では、うまい具合に“ちょい寝”で切り上げるにはどうしたらいいか。林教授は、「横になって寝てはダメ」とアドバイスする。「横になると、つい気持ちよくなって起きられなくなり、睡眠がどんどん深くなる。壁や背もたれに頭をつけて椅子に座ったまま寝るとか、デスクにうつぶせになって寝るなど、あえて眠りにくい姿勢で寝るのがコツです」。

「15分で起きる」と暗示してから寝る

 また、「タイミングよく、15分で起きられるだろうか」と自信のない人もいるかもしれない。そんな人にぜひ試してほしいのは、「自己覚醒法」だ。「やり方は至って簡単。『15分経ったら起きるぞ』と思ってから寝る、それだけいいのです。ただし、あまり強く念じすぎるとストレスになって眠れなくなるので、“思う”程度で十分。『ちょっとやってみよう』ぐらいの気持ちで始めるといいでしょう」(林教授)。

 この自己覚醒法のメリットは、アラームなどで強制的に起こされるのと違って目覚めが良く、起床後に眠気を引きずらないことだ。「詳しいメカニズムは分かっていませんが、何時に起きようと思っておくだけで、目覚める前から体が起きる準備をしてくれるのです。私たちの研究では、昼寝の場合、起きようと思う時間の3分ほど前から、心拍数や血圧が徐々に上がるなど、覚醒度が高まってくることが確認されています。目覚めたときの覚醒水準が高いので、頭もスッキリし、その後のパフォーマンスも上がります」と林教授。時計も見ていないのに、その時間に合わせて起きる準備をしてくれるとは、なんともすごい体の仕組みではないか!

 自己覚醒法は初めから思った通りにできなくても、何度かトライしているうちにできるようになる人が多いという。不安なら、携帯のアラーム機能を“保険”で使うのもいいだろう。起きたい時間の1分後にセットしておき、アラームが鳴る前に自然に目が覚めるようになったら上出来。もちろん、朝の起床時にも取り入れられる方法だ。お試しあれ。

この記事は日経Gooday 2014年12月15日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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