朝活にはコツがあった!

 さて、この睡眠効果を仕事のパフォーマンス向上に生かすにはどうしたらいいか。そこで栗山室長が、睡眠をうまく利用した1日の送り方についてアドバイスしてくれた。

 まずは朝の過ごし方から―。「最近は“朝活”がはやっていますが、生体リズムの観点からいうと、朝の学習やスキル磨きは必ずしも効率的とはいえません」と栗山室長は指摘する。朝は「睡眠慣性」といって、目覚めた後もしばらくは眠気を引きずり、頭のアイドリング状態が続いている。この眠気が消えて頭がしっかり働くまでに、通常、2時間程度かかる。

 「ですから、朝一番に何か仕事をするなら、フルに頭脳を駆使する必要の少ない作業。例えば、単純な入力作業とか、あまり考えずに気楽に処理できるようなメールの送信など、いわゆる“やっつけ仕事”がお勧め。難しいことには、頭がフルに働き出してから着手する方が賢明です。もちろん、朝から絶好調という人は別です。睡眠慣性には個人差があり、30分程度で解消される人がいることも分かっています」(栗山室長)

 目覚めから2時間経つと、極端な睡眠不足でない限り、眠気は消え、脳は好調モードに突入する。難しい仕事や厄介な案件は、この時間帯にこそ取り組むといいだろう。

午後の睡魔は避けられない

 しかし、次なる関門は昼過ぎにやって来る。昼食後の眠気だ。集中力が低下して仕事がはかどらず、ミスも多くなる。下手をすると事故にもつながりかねない。ビジネスパーソンにとっては魔の時間帯だ。

 「食事を取った影響というより、むしろ生体リズムとして人間の体は昼の1~3時くらいには眠くなるようにできている。多くの野生動物はまとめて寝る習慣がなく1日の中で数回に分けて眠りますが、人間も近代までは1日数回に分けて眠る多相性(たそうせい)睡眠の習慣を持っていました。ところが、150年ほど前にガス灯や電灯といった人工光が発達し、それ以降、夜にまとめて眠る習慣が確立したのです。午後の眠気は、それ以前の習慣の名残りと考えられます。また、ビジネスパーソンの多くは慢性的に睡眠不足ぎみでしょうから、その影響ももちろんあります」と栗山室長。

 そこで、昼間の眠気対策としてぜひ活用したいのが「昼寝」だ。「短時間の睡眠によって、頭を効果的にリフレッシュできる。ただし、長すぎる昼寝は逆に昼寝後のパフォーマンスを落とし、夜の睡眠の質を低下させることにもつながりますから、せいぜい15分、長くても30分までに抑えるべきです」(栗山室長)。寝過ごさないためには、バイブレーターを使う携帯電話の目覚まし機能などを活用するのもいいだろう。

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