寝過ぎも寿命を縮める!?

 それでは、とにかくたくさん眠れば良いのかというと、そうでもない。よく「8時間の睡眠がベスト」などということを耳にするが、睡眠時間は加齢とともに短くなるのが一般的だ。実際、中高年はベッドにいる時間が長くても、本当に眠れている時間は短くなる一方だ。「個人差はあるが、平均すると30歳には7時間を切り、70歳には6時間を切る」(三島部長)という。

 前述したように睡眠不足は健康に悪影響を与え、最終的には死亡リスクも上げる。ただし、興味深いのは寝過ぎでも死亡リスクが上がってしまうということだ。111万人以上を対象にした米国の大規模調査では、死亡リスクは7時間前後眠っている人が最も低く、それより睡眠時間が短くても長くても高くなる結果となった。日本人を対象にした調査でも、同様の傾向が示されている。

   7時間前後の睡眠が最も長生きする  
   7時間前後の睡眠が最も長生きする  
米国で1982~1988年に30~102歳までの男女111万人6936人を追跡調査した結果。6年後に死亡する割合は、6.5~7.4時間眠っている人が最も低かった。グラフは6.5~7.4時間の人を1とした場合の数値。睡眠時間が短くなるほど、また逆に長くなるほど相対的な死亡リスクが上昇している。(出典:Arch Gen Psychiatry 59:131~136.2002より、三島和夫氏が改変)

 では、どうすればいいのか。最適な睡眠時間については個人差があるものの、4~5時間の短時間睡眠を続けない方が良いことは確かだ。三島部長は、「短時間の睡眠法は、仕事がどうしても立て込んでいる数日間だけなど、期間限定のテクニックと解釈すべき」と警告する。

 いずれにしても、睡眠と健康に密接なつながりがあることが、近年の研究や調査によって明らかになってきている。それでも会社で出世するためには睡眠を削るしかないと考えている人に、内山教授のアドバイスをお伝えしておこう。

 「会社の同期に優秀な人が何人かいて、その中から一人がトップとして残る。それはどういう人かと言うと、体を壊さなかった人なのです。30、40代に睡眠を削って無理をしてきた人は、50代になって体を壊し、結局は出世競争から脱落することが多い。年配の社長さんが『寝ずに頑張った』などと、若い頃の武勇伝を披露することがありますが、本当のところは寝ない日もあれば、ちゃんと休んでいる日もあったはず。でなければ、年をとっても元気ではいられないと思います」

 睡眠をおろそかにすると出世にも響くということか。できるビジネスパーソンは、眠りのツケをためてはいけない。

この記事は日経Gooday 2014年10月10日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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