早期解消には胃腸薬、長期服用には注意

 胃もたれや胸焼けを速やかに解消するには、胃腸薬を飲むことも選択肢の一つだ。どちらも胃酸を減らす必要があるため、胃酸を中和する「制酸薬」や胃酸の分泌を抑える「H2ブロッカー」などを含む胃腸薬を服用する。制酸薬の具体的な成分には、「水酸化マグネシウム」や「無水リン酸水素カルシウム」などがある。また、“スッ”とするハッカが配合されていると、胸のむかつきが収まることがあるという。

 ただし、「これらの薬を飲むと、短期的には症状が収まりますが、根本的に胃の病気を治すわけではないので、注意が必要です」(鈴木教授)。しばらくは食事や飲酒を控えることを忘れてはいけない。また、「胃もたれや胸焼けの場合に、鎮痛剤や抗炎症剤を飲むと胃かいようや胃炎、逆流性食道炎を誘発する危険性があるので、服用すべきではありません」(鈴木教授)。

胃もたれや胸焼けが長引くようなら消化器科を受診

 胃もたれや胸焼けが長く続いた時に心配されるのは、「逆流性食道炎」や「機能性ディスペプシア」などの病気だ。逆流性食道炎とは、胃酸や内容物が食道に逆流することで、食道の下の方に炎症(傷口)が起きる病気で、度重なる胸焼けが長引くような症状になる。のどまで胃酸が上がってくると、のどが痛む「咽頭炎」(いんとうえん)や、「気管支炎」「気管支ぜんそく」のような症状、「中耳炎」などを起こし、肩こりや耳の痛みなどの症状が出ることもある。

 一方、機能性ディスペプシアは、胃の痛みや胃もたれなどの症状が慢性的に続いているにもかかわらず、内視鏡検査を行っても胃かいようや十二指腸かいよう、胃がんなどの異常が見つからない病気だ。生命にかかわる病気ではないが、生活の質を著しく低下させる。今までは「慢性胃炎」や「神経性胃炎」と診断されていたものだが、胃炎があっても症状がなかったり、逆に症状があっても胃炎が認められないこともあるために、内視鏡で分かる胃の炎症の有無にかかわらず機能性ディスペプシアと呼ばれるようになった。

 まずは、胃を休める、我慢できない時は市販の胃腸薬を試すのも一案だ。それでも症状が続く場合は、医療機関(消化器科)を受診する。忘年会の前には、この手順を頭に入れておこう。

胃もたれや胸焼けから回復するための対処法
  1. 胃もたれや胸焼けの時は、お腹がすいたと感じるまでは、無理に食べないほうがいい。
  2. 水分補給は必ず。味噌汁やスポーツドリンクなどで、塩分も合わせて補給する。
  3. お腹がすいてきても、最初は脂肪の多い食事は控える。
  4. つらい時は胃腸薬を服用してみる(消炎鎮痛薬はむしろ良くない)。
  5. それでも治らない時は迷わず医師の診療を。

 次回は、二日酔いの朝に効く即効リセット術をお届けします。

鈴木秀和(すずき ひでかず)さん
慶應義塾大学医学部 医学教育統轄センター 教授
鈴木秀和(すずき ひでかず)さん 1989年、慶應義塾大学医学部卒業、1993年、大学院医学研究科博士課程修了。慶應義塾大学病院の専修医、同医学部内科学(消化器)専任講師、准教授を経て、2015年11月より現職。食道・胃・十二指腸疾患、ヘリコバクターピロリ感染症、胃食道逆流症、機能性消化管障害、消化器がんのの病態と治療、医学教育学、医療データベースが専門。

この記事は日経Gooday 2015年12月15日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。