得意先の接待など、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎが続くと体調を崩しがちだ。気がついたら“体重増”一直線の憂き目を見ないためにはどうすればいい? 不快な胃もたれ・胸焼け、はたまた二日酔いから即効で立ち直るには? つい食べ過ぎ・飲み過ぎをしてしまった後でも、それをなかったかのようにカラダを復活させてくれる即効リセット術を3回連載でお届けしよう。

宴席で食べ過ぎた翌朝の胃もたれから解放されるにはどうすれば…。(©Katarzyna BiaAasiewicz-123rf)
宴席で食べ過ぎた翌朝の胃もたれから解放されるにはどうすれば…。(©Katarzyna BiaAasiewicz-123rf)

 接待、飲み会などでの食べ過ぎや飲みすぎで心配になるのは、体重の増加だけではない。翌日の朝に胃もたれや胸焼けで悩まされることも多いのではないだろうか。少しでも早く、この不快な症状から解放されるには、どうすればよいのだろうか。

 胃もたれと胸焼けはどちらも、食べ過ぎやアルコールの取り過ぎによって、胃で食べ物を消化するための胃酸が過剰に分泌されて、胃が炎症を起こす。ただ症状は異なり、胃もたれの場合は、消化できていない食べ物が胃の中に残り、「胃が重く感じる」「お腹が張っているように感じる」といった不快感をもたらす。特に脂っこい食べ物は消化に時間がかかるため、胃に大きな負担がかかりやすい。

 一方で胸焼けは、「胸の真ん中あたりがチリチリと焼けつくように感じる」「胸が締めつけられるように痛む」といった食道周辺の不快な症状になる。こちらは、胃酸の過剰分泌に加えて、猫背の姿勢だったり、腹圧を入れ過ぎたりしたことによって、食道と胃のつなぎ目にある「下部食道括約筋」が開き、胃液や胃の内容物が食道に逆流してしまうことで起こる。肥満の人も下部食道括約筋が開きやすいという。

不快な朝は具のない味噌汁がオススメ

 忘年会の食べ過ぎによる一時的な胃もたれや胸焼けは、多少時間がかかっても、食べ物が胃から十二指腸、小腸へと排出されていけば、たいていの場合は自然に症状が治まるという。消化器関連の疾患に詳しい慶應義塾大学医学部の鈴木秀和教授は、「胃もたれや胸焼けは急性の胃炎による症状で、その時点で内視鏡検査を行えば小さな点状の出血が確認されることもあるが、しばらくすれば治ってしまうことが多い」と話す。

 とは言え、誰しも、なるべく早く不快な症状から逃れたいはず。鈴木教授に、まずは食事面の対処法を聞いてみた。「胃もたれや胸焼けの症状を感じる時は、安静にして、胃の負担になる食事はお腹がすくまで控えることが一番です。お酒を飲んだ翌日は脱水症状になっているケースが多く、意識して水分を取ることが大切です。お勧めなのは、適度な塩分(ナトリウム)を含む具のない味噌汁や体液に近い塩分を含むスポーツ飲料です。そして、お腹がすいてきたら消化の良いものから徐々に食べ始めることですね。水分の摂取は、食道の詰まりを洗い流してくれるので胸焼けの解消にも有効です」。

 水分と一緒に塩分の補給を勧めるのは、胃で消化したブドウ糖やアミノ酸を吸収するには、ナトリウムの助けが必要だからだ。胃腸における消化吸収を少しでも早く終えるためには、このタイミングで適度な塩分を補給するのが理想的だ。

 胃もたれの際に消化が良いとされる果物や野菜を食べる人も少なくないが、「柑橘類やトマトは、胃酸の分泌を促して胃の炎症を悪化させる恐れがあるため、このタイミングではあまりお勧めできません」(鈴木教授)という。また、消化を促すために軽い運動を行おうとする人もいるが、胃もたれや胸焼けの時は安静にして、運動する筋肉を動かさないようにするほうがよい。胃などの内臓にできるだけ多くの血液を送って働かせなければならない時であるため、筋肉に血液を送らないといけない行為は避けるという考え方だ。

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