恐らく、初めて耳にする人も多いと思われる「多目的コホート研究」。この研究によって科学的に裏付けのあるエビデンスが得られることで、日本人に適した生活習慣、健康維持に必要な要素が明らかになっていくのだ。例えば、飲酒の習慣を調査する項目では、飲酒の「頻度」「酒別」「量」について、5年ごとに同じ形式の質問に調査参加者たちが回答する。こうして14万人の追跡調査によって、飲酒と疾患発症との関連が明らかになってきた。
「例えば、左党の皆さんが気にしている『糖尿病』でいうと、飲酒機会が『週1日未満の人』のリスクを1とした場合、男性では1回当たりの酒量が『1合未満』、『1~2合』『2合以上』と増えるほど、リスクがやはり上がります(上グラフ参照)」(津金先生)
…やっぱり。
週300gの純エタノール量からリスクが上がる
一方、国民の三大疾病とも呼ばれる「心疾患」「脳疾患」「がん」についてはどうだろうか?
「酒を飲まない人の発症リスクを1として比べると、虚血性心疾患については、面白いことに飲酒量が増えるほどリスクが1を下回っています。対して、全脳卒中では、週当たり300gを超える総エタノール量を摂取すると発症リスクは上がっていきます。適量の飲酒であれば、血管系イベント全体で見れば発症リスクは高くないと言えます(下グラフ参照)」(津金先生)
「これは朗報!」とガッツポーズをしたいところだが、喜ぶのはまだ早い。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む