現場を知れば売り方のヒントもつかめます。果物入りシリアル「フルグラ」は、その典型例でした。麦や玄米とドライフルーツなどを組み合わせたフルグラは、ザクザクした食感と豊富な食物繊維や鉄分が特徴です。私は消費者の一人として食べて、素直においしいと感じていました。

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 ポテンシャルがある商品なのに、私がカルビーの会長兼CEO(最高経営責任者)に就任した2009年当時、年商は30億円前後で、あまり売れていませんでした。

 「こんなにおいしい商品なのに、なぜ買ってもらえないのか」。疑問を持ったので、顧客がどのような購買行動を取るのか探るため、フルグラを並べているスーパーの売り場に2時間半立ち続けてみました。

売り場に人が通らない!

 その結果、気づいたのは、売り場に人がそもそも通らないということだったんです。フルグラはお米の売り場辺りに置いてあることが多い。ところが、米は購買頻度が低いので、顧客があまり来ません。目に触れなければ売れなくて当然です。

 では、人が通るところにフルグラを置いてもらうにはどうすればいいのか。考えるうちに、牛乳やヨーグルト売り場は消費者が頻繁に行き来していることを思い出しました。そこにフルグラを置いてもらい、牛乳やヨーグルトを掛けて朝食べることを提案すれば認知度が高まると思い、実行したんです。

 これがきっかけの1つとなって、2012年度のフルグラの出荷額は前年度比1.6倍の60億円を見込むほどのヒット商品に育ちました。14年度には100億円を超えました。

 トップ自身が率先して顧客と接する機会を増やすことも大切です。顧客の意見を直接聞いて経営判断のヒントにすべきだと思います。

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