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「慣れ」の重要性

 英語の学習は、「最小限の解説+慣れ=英語力」です。ところが、上のような事情もあって、なかなかこの方程式を実現するのが難しい。私も英語を教え始めのころ、何度もこのような問題に直面しました。それも、自由英作文などという高級なものではなく、下のような単純な並び替え問題においてです。

あそこで本を読んでいる女の子が私の妹です。

is / the girl / over there / reading / my sister / a book

答えは、もちろん、

 The girl reading a book over there is my sister.

となるわけですが、ある生徒がつぎのような質問をしてきたのです。

 「The girl is reading a book my sisterは駄目ですか?」

―――こんなところから「崩壊」が始まるわけです。

 ちなみに、その問題集の解説には、「これは、現在分詞の形容詞的用法の後置修飾。だから気を付けよう」などという呪文のような説明がありましたが、これを聞いて理解できる人がいったい何人いるかは大きな疑問です。

 上述のような失敗例を踏まえ、どうしても英作文をさせたいのであれば、とんでもない解答や疑問が出ないようにコントロールして出題してやる必要があります。つまり、「無理のない訓練」と「実践的な訓練」をしっかりと分けるわけです。無闇に自由英作文をさせるのは、非常に危険なことで、それは入試前に集中的に行えば十分です(※)。

(※)自由英作文をする前に、まず自由“日”作文をしっかりと行うべきだと私は思います。つまり、日本語での作文能力が重要だと思うのです。

文法は10分の1以下になる

 いずれにせよ、「受信」という視点から英語をとらえ直すと、それまでとはまったく異なる世界が見えます。決して解説や演習がゼロになるわけではありませんが、解説の量が従来の10分の1以下になり、かつその内容がとてもシンプルになります。

 たとえば、今年私は「京都大学の和訳問題(文系)を中学英語で読み解く」というゼミを、ごく普通の高校と(超)進学校の両方で実施しましたが、次のような声を得ることが出来ています。

・今まで勘や雰囲気でやっていたことがシステマチックにできるようになった。
・京都大学の問題でも中学知識で和訳できることを証明してくれた。
 (他)

 文字通り日本のトップレベルの大学の和訳問題がスパッと斬れるわけですから、あとは何も怖いものはありません。

英語のやり直しを考えている方へ

 文法が原因で英語が苦手という人には、ぜひ一度、「この形のときにはこんな意味」というシンプルな視点から英語を見直し、「目の前にある英文を、その意味とともに吸収する」というアプローチを試して見ることをお勧めします。なるべくやさしい例文と、シンプルで端的な解説の載った書籍を選び(※)、「形(文字)と意味」に注目して、その例文を意味(日本語)とともに繰り返し音読していると、そのうち「な~~んだそういうことか」という感覚をつかむことができます。

(※)あれこれダラダラと解説の載っているものは絶対に避けた方が良いですが、かといって全く何もないというのは、とくに社会人の場合、不安要素になります。

 英文のパターン、文法のパターンは無限ではありません。日英、英日の読み上げを丁寧に行っていると必ず「分かる」瞬間がやってきます。私もそれを体験しました。

英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。どうすれば残りの70%の能力を発揮できるのか。さまざまな観点から考えています。私の公式サイトはこちらです。