TOEICというと、いったいどこから手を付けてよいか困る人も多いと思います。まずは文法だと考えて高校レベルの文法書を手にしても、とてもやる気が起こらない(正常な反応です)。実際問題として、このコラムでも何度か指摘しているように、簡単なことをわざわざ難しく解説しているのが文法書だからです。

 しかし、高校の文法書はだめだといって中学のものに手を出しても事情はたいして変わりません。というのも、勉強しはじめると、すぐに主格・目的格・所有格・所有代名詞などといった言葉が出て来ますし、そこをクリアーして学習を進め、ようやく英文が分かり始めたころには、今度は目的語や補語という言葉が現れて、英文への感覚が破壊されることになるからです。「つぎの英文の文型を答えなさい」――これで再チャレンジの試みは(大抵が)崩れ去ります。

 それではとTOEICの問題集に取り組んでも、もしあなたのスコアが300~400点程度であると、解けた気がせず、何をどうして良いかさっぱり分からないということになります。そこで今回は、私がある語学系の学校で2年間にわたって実践し、15週間で100点アップなどの実績を出し、アンケートで「初めて英語の勉強といえる勉強ができた」といったような評価を得ることができた学習方法をご紹介したいと思います。参考になさって下さい。

リスニングを攻めよ!

 まず教材に何を使ったかというと、それはズバリ、リスニングに特化したテキストでした。そう、TOEICのスコアアップの第一の教訓は「リスニングを攻めよ」なのです。なぜでしょうか。それは、リーディングでは文字を解読しないといけないのに対し、リスニングでは音声がそのままストレートに出題されるため、圧倒的に楽だからです。

 TOEICのあのリスニングを楽というと意外に思われるかも知れませんが、初心者にとっては、やり方次第でリーディングよりもはるかにスコアを上げやすいのです。

 さて、私がこのテキストを使って行ったことは何かというと、たった2つだけでした。1つは、徹底的なディクテーション(書き取り)、そして2つ目は意味を受け取ることに焦点を当てた文法(受信文法)による要所要所の解説です。

 問題は、ただの一問も解かせません。

 ではどのように、ディクテーションを行ったかというと、まずすべてのスクリプト(音声の元になった英文)を全部並び替え問題の形に変えました。それをプリントとして準備しておき、学生に言い渡すわけです。「来週○○ページから◎◎ページまでのすべての英文を対象に、並び替えのディクテーションを行います。問題を解こうと和訳を見ようと好きにして構いません、以上」――これだけです。そして、次の授業で90分の授業時間のうち35分ぐらいをディクテーション(と答え合わせ)に使うのです。ディクテーションといっても、一文一文音声を流すなどという面倒なことはしません。1つの問題があるとすると、その英語全部を何度も流すわけです。

 そして、ディクテーションが終わったあとに、今度は英文について注意すべき箇所を、受信文法を使ってやさしく解説しました。ここまでで、55分。

 残りの35分間何をやったかというと、これまたディクテーションでした。何のディクテーションを行ったかというと、実は、前回の学習範囲をもう一度ディクテーションしたのです。つまり、復習です。そんな無茶苦茶なことをして大丈夫なのかと思う人もいるかも知れませんが、学生にはとても喜ばれました。なぜかというと、たとえ1回目にうまくできなくても、一度練習してテストまで受けているので、もう1週間自習トレーニングをすると、流石にできてしまうからです。