このような解説がなされる背景には、「まず正確なルール(プログラム)を理解するべきだ」という直列処理の発想があります。しかし、人間の脳は並列分散処理をしています。つまり、このような発想は人間の自然な脳の働き方に合っていないのです。

 文法書を書いている人は、良かれと思っていろいろな解説を行っているのでしょうが、そもそも「解説自体が不要だ」という事には気づいていません。これは仕方のないことです。なぜなら、分析し、説明するのが学者の仕事だからです。また、学習者の方も解説の詳しいものが優れた本だと思い込んでいるケースが多々あります(※)

(※)社会に出て、実践的な英語力が求められた途端に、思い違いをしていたと悟る人がたくさんいます。いくら理屈を知っていても、言葉そのものを吸収していないと、結局使い物にならないということに気づくからです。

 最近は、英語の先生方にもこのあたりに大きな問題があると感じている人がいて、文法的な解説を行わずに英語を教えたいのに、教科書や参考書には必ず解説が入っていて困る――と嘆く人もいます。

 文法書が分かりにくいのにはもう1つ理由があります。それは、英作文や文法・語法問題をあまりに意識し過ぎて、細かい説明が多いということです。例えば、suggest(提案する)について、「suggestは、SVO+to不定詞の形では使わない動詞なので注意しよう」などと書かれていたりするわけですが、そもそもsuggestがそのように使われている事例自体が存在しないので、注意する必要は初めからありません。

 なぜこんな奇妙なことが起こるかというと、四択問題というのは迷わせるのが目的で、わざと3つの誤った選択肢を用意しているからです。私なども、正解についてしかポイントを教えなかったので、初めのころは「どうして他の3つは駄目なのですか」とよく聞かれたものです。「それはね、これが他動詞で…」、これをやっているから日本の英語教育は前に進まない(※)

(※)コツをつかんでからは、初めのところで「四択問題」というものがどういうものか、どう対処すれば良いかについて説明をするようにしましたので、あれこれと聞いてくる生徒はいなくなりました。

 いずれにせよ、1つや2つならともかく、多数のこれらの解説を理解し、意識して使うのはとても難しいと言えます。また、たとえ理解できたとしても、文法的な分析を行うクセが抜けなくなり、あとあと英語を見るたびに、その記憶がよみがえって足を引っ張ることになります。

 特異点を通過すると、このような余計な説明はすべて無くなります。無くなっても、いや、無くなるからこそ、良質の英文をダイレクトに吸収して、英文を書いたり、話したりできるようになります。

 これまでの英語学習においては、莫大なエネルギーが無駄に浪費されています。ぜひ特異点を通過した人たちのノウハウが、なるべく早く世の中に広がって欲しいものです。

 英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話ししていきます。

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