今、AI(人工知能)が大きな話題となっています。コンピューターのアンチウイルスなど、これまでは新たに出てきたウイルスに対応する流れだったため、常に後手に回ってきたのですが、AIを使うことでこれから出現するウイルスを高い精度で予測できるようになりました。これこそ、「革新」といえるものでしょう。

 ところで、少し整理すると、AIはこれまでに大きく2段階のステップを踏んでいます。第一世代のAIは、直列処理という情報処理理論に基づくもので、私たちのパソコンはすべてこの直列処理に基づいて動いています。第二世代は、並列分散処理といわれ、簡単に言えば「脳の働き方」を真似したものです。

 ディープラーニングはこの情報処理と関係しています。ディープラーニングというのは、はじめごく簡単な作業しかできなかったものが、より複雑な作業ができるようになったことを指し、さらに言えば、膨大なデータから自力でそこに含まれる特徴的なパターンを認識できるようなったことを意味します(※)

(※)技術的には、これは単層~2層ニューラルネットから多層ニューラルネットへの進歩を意味します。ちなみに、あまり知られていませんが、並列分散処理は直列処理と同じぐらい古い歴史を持っています。

ディープラーニングと英語学習

 さて、ディープラーニングと英語学習には深い関係があります。なぜなら、ディープラーニングは「人間の脳」を模して造られたものだからです。実際、AIそのものが話題になるはるか以前の1980年前後に、すでにコンピューターに言葉を学ばせる実験が行われていて、とても興味深い結果が出ています。

 ところで今、ディープラーニングは「特異点」に向かっていると言われています。特異点というのは、もともと物理学で使われ始めた言葉で、ブラックホールの中心部のことを言います。そこがなぜ「特異」なのかというと、現代物理学でも何が起きているかを説明できないからです。

 ディープラーニングにおける特異点というのは、コンピューターが、「人間を超える知性」を持つときを指して使われます。

 すでに、ディープラーニングはもっとも難しいと言われていた囲碁において、人間の達人を負かすところまで進歩していますが、今の時点では、総合力で人間の知性にはまだ追いついていません。しかし、このままディープラーニングが進化すると、人間を超えるコンピューターが出現するのではないかと考えられているのです。それも、5年、あるいは10年といった、すぐそこの近未来に(※)

(※)ターミネーターという映画の中で、スカイネットというコンピューターに支配された世界が出てきますが、それと同じようなことが本当に起こり得ると予測する人もいます。

英語学習の「特異点」とは?

 さて、実は、英語学習も「特異点」に向かっています。

 それは、「まず文法解説有りき」の学習から、「文法解説がゼロ」もしくは「ほとんどゼロ」の学習への転換です。