日本人の英語力を一夜にして変える方法

 現実的かどうかは別にして、スピーキングを含む、日本人の英語力を短期間で確実に伸ばす方法があります。それは、公的機関主導の「全国共通完全アチーブメントテスト」の実施です。アチーブメントテストというのは、簡単にいうと、学んだ英文がそのままテストとして出題されるということで、「やれば100%確実に結果につながる」形式のテストのことです。

 英語の場合だと、私は基本的には、これは「暗唱」であると考えています。

 例えば、日本では「百人一首」や「和歌」をすべて覚えさせるような教育を行っているところがあります。しかし、なぜそのような「丸暗記」を「強要する」のでしょうか。「丸暗記」なんて、絶対にしてはならない「禁断の学習法」、生徒の創造力・思考能力を奪う「亡国の学習法」ではないのでしょうか。

 あなたの意見はどうでしょう。上のような教育には反対でしょうか、それとも賛成でしょうか。もし「反対ではない」としたら、それは「なぜ」でしょうか。

 私はこう考えます。言葉は理屈ではない。良い日本語、歴史の重みをもつ日本語をしっかりと音読し、身に付ければ、それは必ず深みをもつ良い日本語、はては文化の継承につながる。その強い信念が上のような教育の背後にあると。

 英語の場合、文化の継承までは考える必要はないと思いますが、単純に考えて、良質の文章を多数暗唱して完全に身に付ければ、良質の英文、良質のスピーチ、良質の会話につながると考えられます。よく(固定的な)暗唱などは応用につながらないという事が言われますが、人間の脳が凄いのは、きわめて複雑な「ディープラーニング」によって、一見「固定的」で、かつ関連性も無いように見える情報が、相互に作用しあって、応用力、さらには創発力につながっていくということです。

 これを公的機関主導の統一試験として実施するというのが私の案です。たとえば、良質の40~80語程度のパッセージや会話文を500セット用意して、そこから30セットを出題する(※)。そして、それが英語の成績の40点の重みをもつとするわけです。英文とテスト方法をすべて明確に提示し、あとそれをどのように訓練するかは、すべて各学校や民間教育機関に任せます。

(※)これは、マイクロラーニングという教材設計の考え方です。

 さて、こうした場合、どのようなことが起こるでしょうか。直観的に予測されるのは、つぎの3点です。

①入試で40%の重みをもち、かつ努力がそのまま成果につながるとなると、日本の「全生徒」が(超高品質の)英文を、おそらく聞いて声に出して、懸命に学習するようになる。

(※)「必ず出る」そして「このように出題される」と分かっているので、高い集中が生まれます。生徒も教師もあれこれ迷わなくて良いので、無駄がありません。

②出題する英文の内容レベルをうまく調整すると、中学1年、さらには小学5年や6年からこの学習を始める者がどんどんと出てくる。

(※)百人一首や和歌のような様々な実施例に学び、応用すれば、アクティブラーニング的なものを含む、まさしく理想的な早期英語教育の展開が可能かと思われます。

③副次的な効果として、この40%へ向けての学習を行う中で、英語の基盤がしっかりと固まっていくため、相乗作用が起こり、残り60%の学習が加速される。

(※)相乗作用は必ず起こります。なぜなら、上でも触れたとおり、人間の脳はネットワークが多層に重なる超ディープラーニングを行っているからです。

「全国共通完全アチーブメントテスト」が実施できる理由

 細部を詰める必要がありますが、このテストは120%実施できます。なぜなら、これまでこの国は、「センター試験」という、途方もなく高度なマネジメントを要する試験を長年行ってきた蓄積と実績があるからです。

 普通に考えて、このようなテストが実現する可能性は、「ゼロ」に近いかもしれません。ただ、もし実現したなら、この国の英語力は文字通り「一夜」にして底上げされると考えられます。なぜなら、英文と実施方法が発表されるや、即座に、全国のすべての対象学年において高品質の英文の学習が一斉に始まるからです。

 そして、あらゆるテストにこの40%が組み込まれることになります。そのインパクトは計りしれません。

 あれこれと策を練ることも大切ですが、「ドン」とひとつ要となるものを置くというのも一つの考え方ではないかと思います。特に、語学の場合においては。

英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。どうすれば残りの70%の能力を発揮できるのか。さまざまな観点から考えています。私の公式サイトはこちらです。

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