ところが、現実はかなり違います。彼らが一様に言うのは、「半年で何とか英語の音に慣れ始めた」という点です。「半年で話せるようになった」と言った人は、私の知り合った人の中では1人もいません。

 実際の話として、海外留学を目指す人たちの中でも、このような現実を知る人が驚くほど少ないようで、多くの人が途中で挫折し、日本人同士で集まったり、メールを送り合ったりするようになって、結局会話力を身に付けることができないまま終わるケースが多くあります(※)

(※)最近の学生は、海外にいても気楽に自分の家族や友人と連絡を取りますし、さらには、(日本の深夜に)国内にいる学生とオンラインゲームをするというようなこともあります。IT技術は、まさしく「double-edged sword」(両側に刃のついた剣=両刃の剣)です(←このように日本語を活用してどんどん語彙を増やして下さい。常識を破ることでしか、常識外れの結果は出せません)。

 では、海外に住んで英語をモノにできた人がどのように言っているかというと、大抵の場合、初めの半年を何とか耐え抜き、その後半年間懸命に頑張って、ようやく少し応答などができるようになった。2年目の終わりごろになって、基礎的な会話ができるようになった。4年目の終わりになって、ようやくスムーズに会話できるようになった――概ねそのように言います。

 ネイティブ並みに話せるような人にも会ったことがありますが、8~10年程度はかかっています。この点は、ぜひ今このコラムを読んでいる方で、海外経験のある方にもお聞きしたい点です(※)

(※)私が学生の海外研修の際に知り合った、あるコーディネーターは、「適当に遊んでいるうちにあっという間に半年間が過ぎ、これではいけないと思って、それから後は日本人との接触を一切断って必死で勉強しました」と語っていました。彼はその後の1年間を「地獄のようでした」と表現し、その頑張りのおかげで今があると言っていました。

 ――これが、「英会話ができる」の舞台裏です。

しっかりとした戦略が必要

 このように、英会話というのは、私たちが想像する以上に習得が難しく、漠然と考えているとあっという間に泥沼化します。

 私も、自分なりに実用的な英語の学習法を見つけるまでは苦労しましたが、コツをつかみ、本格的に学びはじめてからは4年ぐらいで、もうタイム誌などを読んで、ネイティブ相手に超ひも理論などについて説明していました。ところが、日常会話の習得に取り組み始めて、その歯車が狂いはじめたのです。

 事の始まりは、私が「英語の先生」だったことで、先生なのだから時事のトピックや理屈っぽい話だけでなく、日常会話が流暢に出来ないといけない――そう思ったのが運の尽きだったというわけです。そのぐらい、(英語が非日常の環境で)日常会話を身に付けるのは大変なことなのです(※)

(※)「英語の先生」などにこだわらず、時事の話題やサイエンスなど、自分に興味のある話題だけに絞って学習していればどれだけ楽だっただろう……などと、今でも夢想することがあります。

 このような訳で、英会話を学校の授業、それも国内の日本語環境の中で教えようとする場合には、それなりのビジョンと方法論、さら言えばしっかりとした戦略をもって臨まないと危険なのです。

 次回は、これらの点についてお話したいと思います。

 英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話ししていきます。

 英会話にお困りの方は、ぜひ一度私が開発した最新の会話教材リッスントークをご検討下さい。私の公式サイトはこちらです