また、判定の仕方自体についても、合否の形であったり、スコアであったりします。他にも実施回数や実施地、受験料の問題があります。実施回数が少ないテスト、実施地が少ないテスト、高額なテストは当然ながら受けるのが大変です。

 さらにやっかいなのは、肝心のスピーキング力はとくに客観的な判定が難しく、異なる試験の間だけでなく、同じ試験においてさえ判定の基準がかなり異なるという点です(※)。

(※)実際の話として、私の知人にある試験の面接官をしていた人がいますが、判定の基準があまりにも曖昧で、揺れ幅が大きいために嫌気が差して辞めてしまったという例があります。

 このような状況で、テストの公平性を確保するのはかなり難しいと言えます。

 そのため、少なくとも判定基準だけは統一させようという流れになって採用されたのがCEFR(セファール)と呼ばれる基準です。これは、「Common European Framework of Reference for Languages」(ヨーロッパ言語共通参照枠)の略称で、その名の通り、ヨーロッパ(欧州協議会の会員国)における言語能力の判定基準です。CEFRにはレベルの低い順からA2、A1、B2、B1、C2、C1の6段階の判定基準があります。

 しかし、CEFRは、その名の通り、あくまでもヨーロッパの国々のための判定基準であり、かつそれ自体は独自のテストは実施されていません。そのため、民間試験の判定と関連付けるといっても、それは決して客観的なものにはなりません。この点については、実際に複数の試験を受けたことがある人ならお分かりになるかと思います。

リスクファクタ――2

 さらに大きな問題として、CEFRはあくまでも経済的・社会的に緊密な関係にあるヨーロッパの国々に住む人たちを対象に作られており、その判定基準は、とくにスピーキングについて日本人には非常にハードルが高くなっています。

 民間試験の中には、ある特定のレベルについて「B2」や「C2」相当と書いてあるものもありますが、これはCEFRの判定基準をよく読んでいないか、もしくはマーケティング上のパフォーマンスであるように思われます。

 実際のところ、この点は問題としてクローズアップされ、その結果として「CEFR-J」という判定基準が公的研究費によって開発されています。CEFRはあまりも敷居が高く、これによって日本人の英語能力を判定すると、そのほとんどがA1かA2になってしまう。これでは、正確な判定ができない。そこで、「CEFRの日本版」(日本人用)が開発されたというわけです。

 今後は、私たちの英語力も、(リスニングテスト導入に続く)この度の最後のチャレンジを通じて、世界レベルに近づいていくのかも知れません。しかし、少なくともこの先数年間は大きな進歩を期待するのは難しいと思われます。ですので、当面は無理やりCEFRに関連付けるよりは、CEFR-Jを活用する方が適切であるように思えます。