導入され始めた「英会話AI」

 確かに自動翻訳の精度は驚くほどですが、AIはすでに、このような、ある意味単純な言葉の変換はすでに飛び越えています。それがどういうことかというと、ご存知の方も多いと思いますが、「人と会話のできるロボット」がすでに出現しているのです。それも、ご丁寧なことに、言葉が自然なだけでなく、顔の表情を変えて微妙な感情表現ができる、「人間そっくりのロボット」です。

 私がYouTubeで見たロボットは等身大のものでしたが、頭の毛がなく後頭部はアルミか何かの薄い膜で覆われていました。しかし、もちろん、これは無闇に人間の恐怖心をあおらないようにという配慮からだと思います。それというのも、このロボットは、視覚センサーによって人間の表情を読み取り、それを理解するだけでなく、自らも非常に微妙な表情で話すことが出来、本当にまるで人間かのように振る舞うのです。会話内容も当意即妙で、開発者も、「…can… and use all of this to form relationship with people」(そして、これらのデータを使って、人間と関係性を築くことができます)と言っていましたが、まさしくその通りとしか言いようのない驚きのパフォーマンスでした。

 ちなみに、そのロボットは“被験者”の男性とひとしきり話した後、「Would you like to play a game of rock-paper-and-scissors, robot-style?」(ジャンケンをしませんか。ロボット流で)と言い、実際にやって勝ってしまいました(※)。そして、その後なんと「This is a good beginning for my plan to dominate the human race, a,ha,ha,ha」(これは、人類の支配を目指す私の計画にとって幸先の良い出足です、あははは)と言い、ニコリとやってのけたのです。これはまったくもって笑えない話で、あらかじめプログラムされていたと信じたいところですーーーじつは、その後で、「Just kidding.」(冗談です)と言って、うまく(?)フォローを入れてくれたのですが。

(※)視覚センサーで相手の腕や手の動きを読み取って、出す手を正確に予測したのかもしれません。

 いずれにせよ、すでに会話についてもAIはこのレベルまできており、実際の話として、英会話学校や企業にも「英会話ロボ」「英会話AI」が導入され始めています。ロボット相手であると、妙に緊張することがありませんので、これらのサービスを使ってどんどんと話すというのはとても魅力的なトレーニング法のように思われます。話す力を伸ばすもっとも有効な方法は、なんといっても、とにかく量をこなし、失敗を重ねることだからです。

 さらに、AIなら、「話す」だけでなく、「読む」、「書く」、「聴く」の何でもこいというのも魅力的です。知識が豊富なのは言うまでもなく、たとえ唐突に「I’d like to talk about near infrared photoimmunotherapy.」(近赤外線免疫療法について話したいです)と言ったところで、何の問題もなく付き合ってくれるでしょう。さらに、こちらが聞けば、詳細な点についてどんどんと教えてくれるでしょうし、モニターを接続すれば、それこそ動画付きで、丁寧に何度でも説明してくれるでしょう。飽きないで付き合ってくれるというのもAIの大きな魅力です。

 最近は英語教育においても、ICT(Information and Communication Technology)が声高に喧伝され、まるでマジックか何かのような話になっていて、私などもときどき「?」と思うときがあるのですが、これだけ高度に進化したAIとダイレクトに会話ができ、「教えてもらう」ことも出来るとなると、ぜひ一台(一人?)欲しいものだな……と思ってしまいます。ビルゲイツは、「パソコンが一人に一台ある世界」を夢見ましたが、それはすでに現実のものとなりました。そう考えると、私のこの夢が実現する日もそう遠くはないのかもしれません。

英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。どうすれば残りの70%の能力を発揮できるのか。さまざまな観点から考えています。私の公式サイトはこちらです