これではあまりも直訳過ぎますので、もう少し柔らかく訳すと、「君の寝息を聴くためだけに、ずっと起きていることだってできる」という感じになります。

 恋人がすぐそばで目を閉じて寝ている。その静かな息遣いをいつまでも聴いていたい。ただ聴くためだけのために、ずっと起きていることさえできる。そのぐらい君のことを深く想っている…つまり、couldによって、恋人に対する優しく、深い想いが表現されているわけです。

 これを①の意味、つまり「起きていることができた」と「過去」の意味に取ると、この歌詞の伝えるニュアンスを正しく「受け取る」ことはできません。

 さて、過去形のこのような使い方は、何もロマンチックな歌詞だけに限られるものではありません。日常会話やビジネス会話においても頻繁に使われます。でも、残念なことに、私たちは大抵の場合、「If+動詞の過去形=仮定法過去=事実に反する仮定」というところから入り、演習を繰り返すため、そのまま頭が固まってしまい、「想像の過去形」の微妙なニュアンスが理解できず、また使うこともできません(※)

(※)今このコラムを読んでいる人の中にも、英会話をしていて、「このIfがついていない過去形は何を意味するのだろう」とか、「今言おうとしていることは、事実に反する内容だろうか?それだと仮定法過去にしないといけない…」などと悩んだ経験のある人がいるはずです。

会話に応用する!

 「想像の過去形」が理解できると、つぎのような英文の意味も正確に「受け取れ」ます。

Could you lower the price?
(価格を下げていただくことは可能でしょうか)

 この例では、「今私が想像しているだけのことですが…」という前振りが入ることで、全体の意味がぼやけて、「丁寧な表現」になっています。

 さらに、Ifを使ったつぎのような文の意味も正確に理解できます。

If we could launch the product by May, / that would give us a major advantage.
(もし製品を5月までに発売できると、私たちにとってとても有利になると思われます)

 この例でも、「私が想像しているだけのことですが」という前振りが入ることで、(断定的でない)「控え目な表現」になっています。後ろに続く文でも、それに合わせて「想像の過去形」が使われています。

 ちなみに、この文は「未来」について予想しています(※)

(※)そもそも、英語では、「未来」のことはまだ分からないので、現在からの推測という形で表現します。じつに論理的でクールだとは思いませんか。

 もちろん、つぎのような文の意味も理解できます。

I wish / I could speak English well. 
(英語がうまく話せたらいいのになぁ)

 詳しく見ると、この英文の意味は「反事実」(事実と反対)ですが、それは文脈からそういう意味になるだけのことに過ぎません。つまり、結果的にそうなっているだけのことです。

 「受け取る」という発想で考える場合には、意味だけを追いかければ良いので、いちいち事実かどうかを判断する必要がありません。ですので、会話において理解しやすくなるだけでなく、格段に使いやすくなります。

 最後に、一般的に教えられている典型的な「仮定法」のケースを見て見ましょう。

If I had enough time and money, / I would enjoy travelling the world by a luxury liner.
(もし十分な時間とお金があれば、豪華客船で世界を旅するのだけれど)

 「想像の過去形」が理解できると、英語を深くつかむことができるようになり、英語にたいする感覚自体が大きく変わります。「作る文法」から「受け取る文法へ」。ぜひ「受信文法」(インターフェース・グラマー)の考え方を身に付けて、英語を一気に身近なものにして下さい。

 英語に関する限り、私たちの能力は30%程度しか引き出されていません。これはとても残念なことです。このコラムでは、どうすれば残りの70%の能力を発揮できるかについて、日本語を活用するという手法を中心にさまざまな観点からお話ししていきます。

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